最高時速500キロ 夢の「リニア中央新幹線」の現状 最大の壁は「水問題」 静岡県との「対話」前進も静岡工区はいまだ工事始まらず

最高時速500キロの夢の超特急、「リニア中央新幹線」。大きな経済効果が期待されていますが、いまだ開業の時期は見通せていません。ただ、開業の遅れの最大の原因となっていた静岡での水問題が前進しました。
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■2023年
(大石邦彦アンカーマン)「きました!480キロ超えてきました!500キロは目の前!500キロになった!」
品川と名古屋をわずか40分で結ぶ、夢の超特急「リニア中央新幹線」!
(大石)「いま鉄道に近い振動ですよね。…あっ、いま!来ましたか?」
(JR東海 丹羽俊介社長)「浮いています」
(大石)「浮いているんですね!」
最大の特徴は『浮上走行』。壁のコイルと車両に取り付けられた『超電導磁石』の作用で、最高時速500キロを実現!
国はリニアについて、すでに「営業レベル」にあると評価しています。開業に向け、11年前から各地で工事が始まっていますが、去年3月のこと…。
静岡県との「対話」が難航していたが…?
■2024年3月
(JR東海 丹羽俊介社長)「2027年の開業は実現できない」
JR東海はそれまで目標としていた2027年の開業を正式に断念。大きな要因は…静岡で遅遅として進まない工事でした。
■2017年
(静岡県 川勝平太前知事)「全てデメリットしかない。この工事を静岡県下ですることに対し、断固猛省を求めたい。考え直せということです」
静岡の川勝前知事が「水問題」などを理由にストップをかけ、膠着状態に。去年5月に就任した鈴木康友知事はリニア推進の立場ですが、そもそも「水資源」や「生物多様性」など28の項目について、県とJR東海での「対話」を終えることが工事着工の条件。
鈴木知事はこの「対話」について「年内に終了するのは難しい」という認識。静岡での工事は10年程度の工期が予定されているため、リニアの開業は早くても2036年以降になる見込みです。
しかし、ここへきて鍵を握る両者の「対話」が確実に前進。
今月2日に開かれたリニア工事に伴う影響や対策を話し合う静岡県の専門部会で、県が課題にしていた28の項目のうち新たに2つの項目が了承されました。これでリニア着工への最大の障壁だった「水」に関する議論が全て完了したことになります。
しかしこれですぐに静岡での工事が始まるかというと、そうではありません。「生態系への影響」や「工事で出る土の問題」についてまだ18の課題が残されています。品川ー名古屋間の当初の開業目標は再来年ですが、静岡工区はいまだ一切工事が始まっていません。