ゴルフクラブへの加工まで…“消費税分の利ザヤ”等で狙われる日本への「金密輸」巧妙化する手口に税関も対策
金の密輸が増加していることを受け、取り締まりを強化している名古屋税関は12月3日、中部国際空港で税関検査のデモンストレーションを公開しました。
■直径1センチ未満のサイズも…金を隠す手口は巧妙化
旅行客が増加する年末年始は密輸も増える恐れもあり、中部国際空港で3日、税関検査のデモンストレーションが公開されました。 女性用の下着に隠したり、時にはゴルフクラブのヘッドの形に加工したり、金の密輸はあの手この手で繰り返されています。
手荷物に金や薬物の密輸がないかを調べる税関カウンターではまず、特殊な布を使って薬物の反応がないかチェックします。
その後、旅行客役の職員が金属探知機のゲートをくぐり、コルセットの中に隠されていた金を見つける流れを確認しました。
しかし実際には、こんな単純に密輸が見つかるケースはほとんどありません。
空港のカートの部品の中に金を隠したり、直径1センチにも満たない小さなICチップに隠すなど、手口は巧妙化しています。
■消費税10%分が利益に…押収量は前年比8倍
金密輸の背景にあるのは日本の消費税です。消費税がかからない海外で金を購入し輸入する際、税関で消費税分を支払わなければいけませんが、すり抜けて密輸して日本国内で売れば、消費税10%分の利益を手にすることができてしまいます。
罰則の強化で密輸は減少していましたが、金の価格はここ数年で一気に上昇。この影響もあって再び密輸も増え、金の押収量は2024年は6月までに937キロで、23年の同じ時期に比べ8倍以上に増えていて、税関も摘発に力を入れています。
■麻薬探知犬も活躍 税関「情報提供を」
3日は、麻薬探知犬のデモンストレーションも公開されました。薬物に似せた匂いがする布が入ったスーツケースを、麻薬探知犬はしっぽを振ってターゲットをすぐに見つけました。
金も薬物も、人やモノの移動が増える年末年始にかけ、税関が密輸に目を光らせます。 名古屋税関の嶋影正樹監視部長: 「もし不審な情報などがありましたら、最寄りの税関の方に情報提供いただければと思います」