仮想空間を活用「メタワーク」で地方の人手不足解消へ 愛知・新城市と名古屋大が共同で実証実験

家庭用のゲームや動画を見る時にも使われる「VRゴーグル」。このゴーグルから見える仮想空間を、新たな働き方改革につなげようとする実証実験が、愛知で始まりました。
「VRゴーグルをつけた人がコントローラーを持って、何やら操作をしています」(石塚莉子 記者)
画面に映っているのはロボットのアームのようなもの。実は…
「50kmほど離れた名古屋大学の一室です。ロボットアームが動いて、木のブロックを持ち上げています」(金城帆夏 記者)
愛知県新城市が名古屋大学などと共同で始めたのは、仮想空間「メタバース」を活用した実証実験です。積み木を移動させたり、お菓子の箱詰め作業をしたりします。
新城市にあるVRゴーグルやコントローラーを動かし、50km以上離れた名古屋大学にあるロボットのアームを遠隔で操作します。
実験に参加する名古屋大学未来社会創造機構の河口信夫教授は、日本全国どこでも操作することができ、これによって「新たな働き方」が生まれると話しています。
「“メタワーク”という新しい働き方を我々が提案している。(人手不足の企業は)田舎にあったりするんですよね。なかなか人が集まらないなどの難しさがあって、そういう中で遠隔で働けるといいんじゃないかという話が出てきた」(河口教授)
「メタワーク」で人手不足解消に

仮想空間を活用した、新しい働き方「メタワーク」。人口の減少や高齢化に悩む地方都市でも働ける環境を作り出すことが目的です。
新城市では、経済活動を担う15歳から64歳までの「生産年齢人口」が、2010年からの10年間で6千人減っています。その新城市では「メタワーク」にこんな期待も。
「子育て世代のお母さんなどにスキマ時間に働ける場所を提供できる。新城市が新しい取り組みを行うことで『新城市、面白いことやっているな』と。魅力ある、選ばれる市になりたい」(新城市 産業政策課 永田美紀 課長)
体験した人からはこんな声も。
「思ったより操作はしやすい。奥行きなどがリアルではない部分があるので、難しいところがあると思った」(体験した新城市職員)
「相手の場所が単に離れているだけではなくて、例えば危ない場所であったり、暑いとか寒い環境もありますし、病院の医療関係のものであったり、そういったものを扱う時にロボットアームであれば安全なので、できるのではないかと。人手不足の世界にどこからでも働けるという世界をつくっていきたい」(河口教授)
新しい働き方「メタワーク」の研究を進める名古屋大学などは、3年後の実用化を目指しています。