
“スマホ2時間”条例案提出に賛否!議会で可決される?市民の本音は? 反響に市長「使い方を見直すきっかけをつくりたい」 愛知・豊明市

物議をかもしている、愛知県豊明市の“スマホ2時間条例”。様々な反響があるなか、今月25日、豊明市は条例案を議会に提出しました。成立する見通しはあるのでしょうか。
条例案のねらいを市長に直撃!賛否分かれる市民の意見

今月25日、豊明市の小浮正典市長は、仕事や勉強以外でのスマホなどの使用については、2時間を目安とする条例案を議会に提出しました。
条例案のねらいについて、市長を直撃しました。

「社会全体としてそれぞれが スマートフォンを使いすぎていて、何かを犠牲にしてしまっている。大事な人とのコミュニケーションをないがしろにしたり、睡眠時間を削っている」と、スマホが社会に及ぼしている影響を述べた小浮市長。続けて、「全市民が、自分たちの使い方を見直すきっかけをつくらなければということで、住民向けに条例案を提案しようというふうに考えたわけです」と条例案提出の理由を明かしました。
この条例案について、豊明市民はどのように思っているのでしょうか。
高校生:反対派
「2時間…物足りないです。(条例は)嫌ですね」
30代:反対派
「反対ですね。それを定めてどうなのかな?各家庭によって違うじゃないですか」
30代:賛成派
「スマホ見ないようにねっていう、啓蒙になるぐらいはいい」
20代:賛成派
「賛成です。決められた時間で見た方が、子どももいるし、いいかなと思って」
賛否が分かれるなかで見えてきたのは、市民一人ひとりの価値観。便利さと向き合いながら、どのようにルールをつくっていくのか―。
「気がつくと手に持っている」家族取材で見えたスマホ依存
みなさん、スマホをどのように使っているのでしょうか。豊明市に住む家族を取材しました。
夕食が始まり、しばらくすると、お母さんの手にスマホが!友達からメッセージが届き、返信していました。そのあとも、スマホに視線を向けるお母さん。メッセージが気になるのか、何度もスマホを手に取っていました。
夕食後は、英語のスピーチコンテストに向けて練習。両親の前で、お子さんが英語で自己紹介をしていきます。
このとき、お父さんの目線は、娘ではなくスマホに!英語のコンテストについて調べていたといいます。その後も、写真を撮るなど、手にはスマホが。
父:
「普段、無意識に使っていて、気がつくと手に持っている。スマホを手放していない感覚はありますね」
もはや、なくてはならない存在となった、“スマホ”をめぐる今回の条例案。
豊明市によると、条例案について、これまでに約90件の問い合わせの電話があったといいます。その多くは市外からの電話で、約9割が反対の意見だということです。
可決の見通しも、“全会一致”が難しい理由とは?

この条例案は、議会で可決されるのでしょうか。
市議会関係者によると、今の議会は、市長の政策に賛同する議員が過半数。比較的、市長の推し進める政策は通りやすく、今回の条例案も通るのではないかという見立てです。
ただ、今回の条例案については賛否が分かれており、反対する議員も。「各家庭で決めればいいものを条例で決める必要がない」、「支援者から反対意見を受けている」などという声もありました。そのため、“全会一致での可決”とはならない可能性も。

今回の条例案は、仕事や勉強以外での使用を、2時間を目安にして欲しいというもので罰則はありません。
スマホとの適切な付き合い方について研究している、東北大学の榊浩平助教は、子どものスマホ利用について、「子どもに自分でルールを作らせることが大切。そうすることで、子どもたちは納得感を持つことができるのではないか」と述べ、「そして、親も自らスマホのルールを作って、背中で手本をみせる。そうすることで、親が子どもと一緒にスマホと向き合う“仲間”になることが大事」と見解を示しました。

豊明市議会では、来月22日に採決が行われる予定。可決されると、10月1日から施行されるということです。