
“新アリーナ”建設で住民投票 混迷の末…住民投票で決着へ 「建設する?」「しない?」が街を二分 愛知・豊橋市

参院選の裏で、もうひとつの投票が。愛知県豊橋市で計画されている新しいアリーナ。この建設を巡って街が二分し、参議院選挙の日に住民投票を行う事態となっています。

参議院議員選挙が公示され、選挙戦がスタート。期日前投票も始まっていますが…
記者:「豊橋市役所の期日前投票所には選挙区、比例代表の投票箱、そして”住民投票”の投票箱が設置されています」
豊橋市では初めてとなる“住民投票”。
豊橋市民(30代):
「この一票が大事なかけがえのない一票だということはわかっていますので、ちょっと緊張しました」
豊橋市民(70代):
「反対派ですから、あくまで待ってほしいけれど、こればかりは仕方ないですね」
豊橋市民(60代):
「賛成と反対にすごい分かれると思うが、この豊橋の活性化を思うと進めていただきたい」

その内容とは、豊橋公園に新しいアリーナを作るという事業。その是非を住民投票で決めるのです。
公園内の野球場を解体し、そこに5000人規模のメインアリーナなどを整備する計画。約10年前から構想されていましたが、いまなぜ、”住民投票”となったのでしょうか。

事の発端は市民からあがった“待った”の声。野球場の移転先が津波の特定避難困難地域であることや、整備費が当初より高騰していることなどが理由でした。
市民団体は住民投票を求め、署名を提出するも、市議会が否決。

整備事業は始まったのですが、新アリーナ計画に反対している長坂尚登氏が市長となったことで、状況が一変。
長坂尚登氏:
「9月末に交わされた契約を解除すると訴えて選挙に出たので、速やかに解除の手続きに入ると」
新アリーナの整備事業は事実上ストップ。
これをきっかけに、反対派の長坂市長と推進派が多数を占める市議会が対立し、事態は混迷したのです。

そもそも、なぜ「新アリーナ」が必要なのか。ひとつは市の総合体育館が老朽化していること。
もうひとつは、豊橋市がホームタウンのB1リーグ所属、三遠ネオフェニックス。2年連続地区優勝し、日本一を決めるチャンピオンシップで準決勝まで勝ち上がりました。
2026年に始まる新リーグ「Bプレミア」へ参入が決まっているのですが、5000人を収容できる「新アリーナ」を持つことが条件になっているのです。

結論が出ないまま、今年5月。事業の是非を問う住民投票条例案が可決。参院選と同じ日に事業の是非を問う判断を豊橋市民に委ねることになったのです。
市民までもが賛成派・反対派に分かれて活動。市を二分するような事態に。
賛成派:「アリーナはぜひ造ってほしい。先に造らないことには 前へ進まない」
反対派:「いまのこういうご時世の中、こういうムダなものを造るという意味がわからん」

一方で、話を聞けば聞くほど迷ってしまう人も…。
双方の説明会に参加:
「いまのところ賛成・反対とも言えないなと思っています。決めなきゃいけないなと思って、ちょっと困っています。結局、豊橋のためになる効果があるのかどうか」
飲食店店主:
「きれいな大きな建物ができて、『これできるといいな』と思う部分も正直あるが、『お金はどこからか』と考えると、それは自分たちのお金(税金)。もう少し考えたいなと」

新アリーナ整備事業は賛成か反対か。長坂市長は…。
豊橋市 長坂尚登 市長:
「しっかりと市民の皆さまに関心を持ってもらって考えて投票していただいて結果が出たら、それでノーサイドになればいいなと思っている」
投票権を持つ豊橋市民約29万人の選択はどうなるのでしょうか。