世界が認める地方の高い技術力を持った企業を紹介するシリーズ。初回は電子書籍が台頭し出版不況と言われる中でも、世界に必要とされている滋賀県の会社の技術を紹介します。
世界シェア40%を誇る製本機メーカー、滋賀の「ホリゾン」に海外勢が注目

紙を折って、表紙を貼り付けて、側面を切りそろえる。紙を本や冊子の形にする製本です。そのための製本機で世界が頼る企業が琵琶湖のほとりにあります。

1946年創業のホリゾン。年間の売上高は160億円です。そのショールームに外国人の姿がありました。オーストラリアの印刷会社の経営者です。ホリゾンの機械を多く導入済みです。
オーストラリアの印刷会社経営者:
「追加で機械を導入したい。ホリゾンはこの分野のリーダーです」

実はホリゾン、売上高の7割が海外向け。販売先は120カ国に上り欧米が中心です。手がけるのはハードカバーの本以外の製本の機械で、中には世界シェア40%の製品も。世界の出版市場に起きているある構造変化に、自社の強みが活きたと言います。
出版不況でも「本の種類」は増加 世界の潮流を捉えた独自の強み

ホリゾン 堀英陽社長:
「紙の出荷量、印刷枚数が減っているのに反して、本のタイトル数は逆に増加してきています。我々の製本機もプリントオンデマンドを実現するためのソリューションを強みにしています。世界の印刷・出版の潮流に乗った技術開発を行っている状況です」

今、世界の出版市場では、注文を受けてから製本するオンデマンド出版や自費出版などが広まり、種類は多く、量は少なくといった傾向が強まっていると言います。しかしこれまでの製本は、数万冊単位など量は多く種類は少ないのが常識でした。

本のサイズや厚みに合わせて、熟練の手作業で機械を微調整する必要があり、本の切り替えに時間とコストがかかったためです。しかし、ホリゾンの機械を導入した会社では違いました。
あさひ高速印刷 水野一朗課長:
「1冊から作業はしますし、平均して多いのは50部から300部。自費出版の方もいます。必然的に部数も限られてきます」
熟練の技を数値化 「十数秒」で切り替え可能な多品種少量生産の衝撃

ホリゾンの製本機を活用すれば、A4サイズの薄い冊子からA5サイズの分厚い本まで、瞬時に製造ラインの切り替えが可能です。
ホリゾン 堀社長:
「十数秒で本の切り替えができます」

機械の中を触らず、コピー機のようなタッチパネルで設定を変更。あとは機械が自動で大きさや厚みを調整し、1冊から簡単に製本できます。熟練者の経験に基づいた微妙な感覚を数値化し機械に落とし込んだことで、誰でも簡単に設定変更ができ、それが多品種少量の製本を可能にしたのです。
ホリゾンは1973年、当時珍しかった卓上用の小型製本機を開発。世界の市場で後発だったホリゾンは、大手の手がけない少ない量の製本に特化し、技術開発を進めながら世界の多品種少量の流れを捉えました。
企業マニュアルから地域報告書まで 広がる「小回り」の利く製本ニーズ

日本経済新聞 大津支局長 安部健太郎記者:
「例えば企業の説明書だとか、業界内の冊子だとか、地域内の報告書だとか。数十部から数百部、数千部で印刷が必要な冊子は世の中にたくさんある。臨機応変に、なおかつ小回り効いて、品質の高いものを作れるという技術が世界でも評価されているのではないかと推測しています」

ホリゾン 堀社長:
「これからますます多品種少量の印刷ニーズが高まっていきます。それに対応する商品を提供していきたいです」


