
麻酔銃とみられる長い筒使い…公園に迷い込んだニホンカモシカを無事捕獲 ケガの治療後に本来の生息地へ


2025年6月2日、名古屋市名東区の廻間公園に現れたニホンカモシカは、3日午後4時ごろ、捕獲されました。
■興奮状態になり深夜の捕獲は中止に…公園に留まったニホンカモシカ
6月2日の朝から公園に居座わり、近所の人たちの注目を集めた国の特別天然記念物のニホンカモシカについて、市は当初、捕獲せず見守る方針でしたが、ケガをしている様子があることから、一旦東山動植物園に収容することを決めました。

しかし、職員が捕獲の準備を進めると、フェンスを越えようと大ジャンプを見せるなど興奮状態になり、夜間の捕獲は中止となりました。

そして3日、麻酔銃とみられる長い筒を持って男性がゆっくりと近づき、警戒したニホンカモシカは公園の中を走り回りますが、午後4時ごろ捕獲されました。
■広い意味では「ウシ」のニホンカモシカ…草食で日中活動
6月3日、ニホンカモシカの生態に詳しい専門家で、愛知学院大学歯学部の講師、子安和弘さんと公園を訪ねました。

愛知学院大学歯学部の講師 子安和弘さん: 「ちょっと小さめですよね。3歳ぐらい。警戒しています。いい状況ではないですね」 子安さんは、周囲を強く警戒している状態で、雨の中での捕獲はより一層難しいと話します。

子安さん: 「ここだと食べるものがないですからね。気持ちとしては、どんどん焦りの感情が増えてくるでしょうから難しいと思います。雨がなくても難しいと思います。広い意味ではウシなんですけど、ウシの中でもヤギに近い動物。草食性で、主に日中に行動します」
■捕獲したニホンカモシカ 治療後に本来の生息地へ
二ホンカモシカは、愛知県内では奥三河の山間部などを中心に生息し、県の調査ではやや増加傾向でおよそ1250頭いると推定されています。 子安さんは、最近生息数が増えているシカに押し出される形で、市街地に現れることが増えていると指摘します。

子安さん: 「山間部はシカの方が生息地として優勢になっていて、押し出されるような形で周辺部にニホンカモシカが下りてきている。オスは縄張りを持つのが普通なものですから、ある程度育ってくると親に追い払われる形で、どんどんカモシカ全体としては住んでいる場所が広がっているようにみえる」

2日間にわたって注目を集め、無事に捕獲されたニホンカモシカ。ケガの治療のあと、本来の生息地に戻されます。