消防士が能登に“エール” ボランティアで演奏会 地震から2年 生活再建進まず…被災地の厳しい現実

発生から2年がたつ能登半島地震。被災地の生活再建は進んでいません。そんな中、現地の復旧にあたった消防士たちが音楽でエールを送りました。

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今月、石川県輪島市の小学校に集まった消防車両。消防職員たちが運んでいるのは「楽器」です。能登半島地震の被災者を励まそうと、愛知県や地元石川県などの消防音楽隊が合同でコンサートを開いたのです。

企画したのは豊橋市消防本部の消防士・鈴木貴久さん(43)。

(豊橋市消防本部 鈴木貴久さん)
「災害があるたびに消防はすぐに現地に向かうんですけど、その後に継続的に心に寄り添うような活動というのが何かできないかなと」

消防士たちが“ボランティア”で再び能登へ

豊橋市を含む愛知県内の各消防は「緊急消防援助隊」として能登半島地震発生直後から輪島市などに派遣され、約2か月間救助活動や行方不明者の捜索にあたりました。

消防音楽隊は一部都市を除き、演奏だけを担当する専従職員はおらず、現役の消防士や救急隊員で構成されています。

捜索や復旧が一段落した中、違う形の支援をと休日を利用してボランティアで再び被災地を訪れることにしたのです。

(豊橋市消防本部 鈴木貴久さん)
「なかなか言葉では『頑張ってね』とは安易に言えない中で、音楽だと伝えられるものがあるのかなと」

「回っているような」震度7の地震で老舗旅館が全壊

鈴木さんたちが演奏の舞台に選んだのが輪島市の町野小学校。学校周辺は輪島市内でも特に建物倒壊などの被害が深刻で人口流出が進み、小学校の児童数は44人から21人に半減。3月で閉校し地元の中学校とともに小中一貫校として再編されることになりました。

町内の仮設商店街で弁当店を営む本谷正希さん(52)と妻の未央さん(49)。

地震の前は100年以上続く老舗旅館を営んでいました。

(本谷未央さん)
「(地震があった)1月1日は休みだったんですけど2日から仕事だったので仕込みをしていて。ちょうど午後4時ぐらいに」
「横揺れとか縦揺れというより私は『回っている』ような感じがして」

旅館は全壊でした。避難所生活や車中泊を経て…

(本谷未央さん)
「2月頭から金沢の方にしばらく行ったんですけど、息子が慣れなくて小学校に行けなくなっちゃったのもあって」

弁当店で再起目指すも今度は豪雨で…

長男の日々生くんが都会の学校になじめず、家族で輪島市に戻り仮設住宅に入居しました。旅館の再建はいったん諦め、弁当店を開こうと準備を進めていた矢先…

今度は豪雨で、店を開くために借りた建物が被害を受け振り出しに戻ったのです。

(本谷正希さん)
「やっと気持ちが湧いてきたときに豪雨でまたがーんと落ちて。なかなか厳しかったあのときは」

2度の災害を乗り越え、去年の年末に弁当店をオープンしました。地元の人は。

(地元住民)
「うれしいです」
「この町どころか能登一円から愛された老舗旅館で。こうやってお弁当だけでも復活してくれてみんなの大きな力になっています」

2度の災害乗り越え…それでも厳しい生活再建への道

地震から2年がたち仕事はようやく再開できた本谷さん夫妻ですが、暮らしの再建は見通せません。

仮設住宅に入居できる期間は最長3年で、あと1年あまりの間に次住む場所を確保しないといけませんが…

(本谷未央さん)
「たぶん今逆に高いんじゃないですかね、金沢とかで(家を)建てるより。(建築費が)2倍3倍。震災前の」

あらゆる建築資材が高騰する中、被災地の利便性の悪い能登への輸送コストが重なり、家を建てるには数百万円の補助金だけでは到底賄えないといいます。

(本谷未央さん)
「皆さんコンテナのおうちでも1000万円以上かかるって言ってるので。前はそれだけかければ普通に家を建てられたんですけど」

8市の消防有志たちが音楽で“エール”

町野小学校でのコンサート当日。本谷さんの店では消防音楽隊から注文を受け40人分の弁当を作っていました。コンサート会場にはこの学校に通う長男・日々生くんの姿も。

演奏を行うのは豊橋市の呼びかけで集まった岐阜市、浜松市、金沢市など8つの市の消防音楽隊の有志たち。

(消防士)
「能登半島地震の際第1陣として能登半島を訪れました。皆さんの笑顔を見られて安心とともにうれしい気持ちでいっぱいです。上を向いてみんなで一緒に歩いて行こうと思います」

最後は、閉校する町野小学校の校歌。

(演奏を聴いた住民)
「涙が出た。校歌で」
「私本当に(地震で)全部なくなったから。命しかないので。下を向いていてもだめだし、同じ1日上を向いていこうという気持ちになりました」
「あんまり(仮設から)外に出ないからね。兄弟2人一緒に(地震で)亡くなったんですよ。家も壊れてないし。ショックが大きかったんです2年間。やっとこうやって外に出れるかなという気持ちになりました」

仮設住宅には今も約1万6000人

地震から2年あまり。被災地では今もおよそ1万6000人が仮設住宅で暮らしています。復興は遅れる中、人口減少と高齢化が急速に進み、地域の存続そのものが危ぶまれています。

(豊橋市消防本部 鈴木貴久さん)
「まだまだ復興には遠いのかなと。少しでも楽しい時間を過ごしていただいて、ちょっと頑張ろうかなとかって思えるきっかけになったらうれしいなと思います」

CBCテレビ「newsX」2026年3月24日放送より 

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