男性社員の育休取得率「116%」 名古屋のインテリア企業の取り組み 9月19日は「育休を考える日」

9月19日は語呂合わせから「育休を考える日」です。2024年度に初めて4割を超えた男性の育休取得率。熱心に取り組みを進める、名古屋の企業を取材しました。
9月19日は「育休を考える日」。男性の育児参加を促そうと、2019年に日本記念日協会に登録されました。
厚労省が7月に発表した2024年度の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は40.5%。1年前と比べて約10ポイント増えました。
女性と比べるとまだまだ低いものの、男性の育休取得率は年々高くなる傾向が続ています。
背景には、育休を分割取得できたり、休業中の賃金の多くを補償したりする仕組みが拡充されてきたことがあります。
今年4月からは、従業員の育休取得率の開示義務が、新たに従業員300人以上の企業にも課せられるなど、国は取得率を高める取り組みを後押ししています。
育休を取得した男性社員「100%超え」の会社

そうしたなか、男性の育休取得率で「100%超え」を達成したという会社が。
名古屋市西区のインテリア総合企業「サンゲツ」です。
カーテンや壁紙などを扱うこの会社。担当者に話を聞くと――。
「116.7%の男性社員が2週間以上の育休を取得している状況になります」(サンゲツ 人事部 青井洋人さん)
2週間以上の育休を取得した男性社員の割合が、2024年度はなんと100%を超えたというんです。
サンゲツでは2024年度、28人の男性社員が2週間以上の育休を取得したといいます。
このうち、年度中に配偶者の出産があったのは24人。
年度が変わる前に赤ちゃんが生まれた社員もいたため、数字が100%を超えることになりました。
会社独自の「育休有給」制度も

もちろん、会社も積極的な取得を後押しします。
「企業独自の育休有給という制度を設けていて、社員の後押しになっているのではないかなと考えています」(青井さん)
会社独自に、育休から復職する前の5日間は有給休暇とする制度をつくるなどして、収入が減ることを気にせず、休みやすくしているといいます。
こうした取り組みに社員からは――。
「先輩たちが自分のお客さんのフォローをしてくれたり、育休中は一切仕事を忘れて『育児に専念しなよ』と言ってもらえたり」(約4カ月育休を取得した男性社員)
「女性社員とかで夫が他の会社に勤めている人と話すと、うちの夫の会社も育休を取ってほしいなとか聞きます」(女性社員)
「家族と向き合う時間が増えたので、自分としても心のゆとりを持てたし、家族との時間を取れたことで、家族にとってもよかったのではないかなと思います」(約1年間育休を取得した男性社員)
育休中の社員の自宅に訪問

実際に、育休取得中の社員を訪ねてみました。
名古屋市に住むサンゲツ中部支社の岡本浩平さん。
7月下旬に生まれた第1子の栞和ちゃんを育てるため、7月30日から10月31日までの3カ月間、育休を取得しています。
Q.育休を取得しようと思ったきっかけは?
「2人の子どもというのが念頭にあって、子育ても2人でしていきたいと強く思っていた。会社としても男性育休を推進してくれていたので、育休は必ず取ろうと思いました」(岡本浩平さん)
妻の千絵さんもサンゲツ社員です。
「早い段階で、育休を2人とも同じ時から取ることを決めていて、会社もそれで許可してくれたので、2人でスタートできるという安心感は常にあったと思います」(千絵さん)
「自身の経験から育休取得を広めたい」

初めは男性が育休を取ることへのためらいがあったものの、実際に育休を取ると、それぞれメリットは大きかったと話します。
「毎日顔も変わってきますし、表情もどんどん出てくるようになるので、大変ではあるんですけど、すごい貴重な時間だなと思っています」(浩平さん)
「自分1人で全部やらないといけない状況じゃないというところで、寝かしつけなども、彼がほぼやってくれているので、そこに関する不安やストレスはかなり軽減されて、自分としても余裕をもって子どもに向き合えているかなと感じています」(千絵さん)
世間一般でみれば、まだまだ高いとは言えない男性の育休取得率。
岡本浩平さんは、自身の経験から育休取得を広めたいといいます。
「今でも男性が休みづらい空気が多少なりともあると思うが、そこの考え方はなくしていけたらと。自分も復帰した後は、男性が育休を取りたいという時があれば、取れるようにフォローしたいと思っています」 (浩平さん)