
津波が来ない場所に住む“巨大地震への備え” きっかけは14年前の東日本大震災 課題は「土地」 2年かかった物件探しも

巨大地震に備えて住む場所を変えるという動きも出始めています。津波が到達しない所に住む、民間主導の「高台移転」に注目です。
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三重県の隣、和歌山県新宮市で家族4人で暮らす仲大樹さん(36)。
津波のリスクを避けるため、2年半前に海から遠い場所に家を建てました。
(仲大樹さん)
「1人目が生まれた時は海の近くで住んでいた。一刻も早く高台に行きたいと思っていた」
新宮市は南海トラフ巨大地震が起きた際、最大で14メートルの津波が予想されている海沿いの町。
仲さんは以前、海までの距離わずか100メートルほどのアパートで暮らしていました。
(仲大樹さん)
「家を出ると、まず海が見える状態。津波という怖さがありますので…」
今の場所は津波の想定浸水域から外れています。
仲さんの家を建てたのは三重県尾鷲市のハウスメーカー「アサヒ住宅」。この会社は三重県の南部や和歌山県で津波のリスクが低い高台や山側の注文住宅を販売していて、これまでに約256軒を手がけています。
高台移転の課題は「土地不足」
(アサヒ住宅 山下宗一郎 社長)
「8区画くらいの分譲地ですけど、もともとは農地だった」
この日も新宮市で5月から分譲する予定地の造成工事が行われていました。
(アサヒ住宅 山下宗一郎 社長)
「高台を探しているという方が9割以上」
アサヒ住宅が高台を中心に住宅を販売するようになった、きっかけは14年前の東日本大震災。高台移転を含めた「安全な街」づくりを行政任せではなく、民間主導で進めようと考えました。
(アサヒ住宅 山下宗一郎 社長)
「『生涯安心して住める家と土地を提供したい』という当社の思いがある。行政1つでは、なかなか街づくりも難しいと思うので、中小企業が活性化していくというのが、この地域だけでなく全国的に大事なことだと思う」
しかし、課題は土地不足。三重県の南部などは海沿いに住宅が密集している町が多く、高台に居住できる土地は多くありません。
先ほどの仲さんも物件探しに2年もかかったと振り返ります。
(仲大樹さん)
「土地がないので、高台に住みたくても住めない状態」
ハウスメーカー側も高台の土地探しが困難だと話します。
(アサヒ住宅 山下宗一郎 社長)
「ある程度の海抜以上のところに会社も含めて移転を進めている最中なので、土地探しは永久に大変」
土地探しや宅地造成にかかる費用の補助など、国や行政も本腰を入れて取り組むことが必要です。
CBCテレビ「チャント!」2025年3月11日放送より