
学校の“時間割”は自分で決める 教育関係者も注目!子どもの学ぶ意欲を伸ばす新しい教育「YST」 場所も教科も自己選択 視察が殺到する名古屋の小学校

創立明治5年。150年以上の歴史がある名古屋市立山吹小学校。名古屋で最も古い小学校の一つですが、ここに全国から注目される「新しい教育」の形が。
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6年生の授業をよく見ると、開いている教科書が同じじゃありません。理科を勉強している子の隣は「漢字」。さらに「算数」や「社会」。1人1人やっていることがバラバラです。
自習に見えますが、実は違います。
新しい教育『YST』とは?
(山吹小学校 南勇希特命主幹)
「『YST・山吹セレクトタイム』を行っています。子どもたちがいつ学ぶか、どのように学ぶか、何を学ぶかを自己選択・自己決定して取り組む学びのスタイル」
子どもたちが自主的に学習計画を立てる「山吹セレクトタイム=YST」を、5年前から導入しています。何をどうやって進めるかの学習計画は自分たちで作ります。
一週間の時間割を見ると、国語や算数という教科名の代わりにYSTが並んでいます。体育や音楽、理科の実験などを除きほとんどがこのYSTです。
(6年生)
「算数が苦手なので先に終わらせて、社会も終わらせたら来週の理科をやりたいと思って」
選ぶのは学習科目だけでなく…
得意不得意や自分に合った学びの方法に合わせ、十人十色の学習計画が。中には、こんな子も…
(6年生)
Q.何でこの席で勉強しているの?
「YSTが進む時と進まない時の差が激しいので原因を探していて、例えば場所とか一緒にやるメンバーとか。1人でやった方が集中できると思ったので、あとは場所だなって、いろいろな場所を試していて、今週はここでやっている」
1人で黙々と集中する子もいれば、友達と勉強している子も。
(6年生)
「算数誰か教えてくれません?」「いいよ」
お互いに得意分野を教え合う、子どもたちの姿が見られました。
(6年生)
「僕が分かったことを教えてあげて、もっと(理解を)深めてもらって、僕も教えてもらって深めていこうと思っている」
「自分は理解しているけど、相手に教えることでもっと理解できるから、そこはYSTのいいところ」
さらに…
(山吹小学校 大橋匡貴先生)
「何でその改革をしたの?そこらへんを見ていけるといいね」
放任ではなくちゃんと計画通り進んでいるか、教師は子どもたちのペースに合わせて、一定のレベルまでは到達できるようアドバイスします。
(大橋先生)
「自分で考えて動けるようになっているし、他者に分からないことを聞けるようになっている。(社会に出て)入社したときは分からないことだらけだし、止まって指示を待つ人間になるのか、自分で『教えてください』とか『工夫してみたけどどうですか』とか、そうやってアクションを起こせるように、(今の教育が)繋がっていってほしい」
児童たちの「YST」への評価は?
導入から5年。この授業の形に…
(6年生)
「普通の授業だと話聞いているだけでつまんないけど、YSTは友達と教え合えるからいい」
「自分から学びにいけるし、失敗を生かせるから楽しい」
「自分でその日にやりたい教科を決めて計画する力がつくからいいと思う」
関係者によると、全国の児童を対象にした意識調査では「学校に行くのが楽しい」「友達と学び合える」「課題解決に向けて自分で取り組める」などといった意欲の部分が伸びたといいます。
さらに…
給食の準備は…「“チョボラ”です」
給食の準備を始めた子どもたち。
(6年生)
Q.給食当番なの?
「違います。“チョボラ”です。ちょこっとボランティア。気づいたらやる」
給食や掃除の時間は当番以外でも、自主的に行動する姿がありました。
(南特命主幹)
「掃除の時間や給食の時間に、教師がやりなさいとかいう前に子どもたちが自分で当番活動を進めている。YSTは主体性を育てるという面もあるので、そういったところが育ってきている実感はある」
全国の教育関係者が注目
山吹小学校の授業は、全国の学校関係者も注目し視察に訪れています。文部科学省もこの授業を、教育関係者向けの資料で取り上げるほどに。
(文部科学省初等中等教育局 教育課程課教育課程企画室・栗山和大室長)
「全国の学校現場で取り組みを進める上で、重要なヒントがあると考えられる」
長年、全員が黒板に向かって一斉に同じ内容を教わってきた日本の学校。それとは違う新しい形として、国も注目しているのです。
(栗山室長)
「一斉授業がダメでこういう授業が全ていいということではなく、うまく組み合わせていくことが大事。児童生徒の状況・捉え方が変化してくる中で、さらにそういう(個に応じた)取り組みが必要」
子どもの発達に本当に役立つ教育とは何か。その模索の一つの成功例とされる、山吹小学校の授業。新しいことを知る「学び」とは、本来楽しくあるべき。子どもの生き生きとした表情にその可能性が見えてきます。
CBCテレビ「ニュースクロス」2025年11月6日放送より





