
ユニークな“ご当地条例” トマトジュースや地酒で乾杯 写真を撮る時はワタリガ二ポーズ なぜ制定された?関係者に聞いてみた

先日、愛知県豊明市のスマホ条例が話題になりましたが、調べると愛知県内にユニークな条例が多くあることが分かりました。一体、どんな目的で作られたのでしょうか?
【写真を見る】ユニークな“ご当地条例” トマトジュースや地酒で乾杯 写真を撮る時はワタリガ二ポーズ なぜ制定された?関係者に聞いてみた
10月1日、愛知県豊明市で“ある条例”が施行され、話題となりました。
(豊明市 浅井俊一教育部長)
「スマートフォン等の適正使用を促す対策を総合的に推進するため」
スマホの使用を1日2時間以内とするよう促す条例。子どもに限らず、全市民を対象にしたスマホ条例は全国初です。
(20代)「きのう8時間。インスタグラムだけで5~6時間」
(20代)「特にお子さんがいる方とかは、話し合うきっかけになればいいのかなと思う」
(70代)「年代的にそんなにゲームをやるわけでもないし、メールを送ったりも頻繁にはしないので、2時間以内といわれれば、そうかなと。子どもたちは『なんで行政がそこまで?』と」
住民からは賛否の声も…
(浅井教育部長)
「条例の意図としては各個人・各家庭で、それぞれの使い方を見直すきっかけに。家族で話し合う機会をもってもらうことを促すため」
「条例」と「法律」の違いは?
また、三重県桑名市では、悪質なカスハラ=カスタマーハラスメントをした人の名前を市が公表するという、いわゆる「カスハラ条例」が、全国で初めて施行されるなど、いま注目される「条例」。
しかし、意外と「条例」について知らない人も多いのではないでしょうか?
(20代)「法律の方が効力としては強いイメージ。条例は市とか単位としては狭いのかなと」
(80代)「条例は地方、法律は国」
改めて「条例」について専門家に話を聞くと。
(弁護士法人心 小島隆太郎弁護士)
Q.法律と条例の違いは?
「大きく違う点は2点。『誰が作っているか』と『どこまで効力が及ぶか』が違い」
法律と条例の違いは主に2つ。「誰が作るか」そして「効果が及ぶ範囲」です。「法律」は国会で定められ、効果が及ぶ範囲は国全体。一方で「条例」は地方議会で制定され、範囲も制定した自治体に限られます。
「条例」に関して、特に多かった街の声が…
(街の人)
「条例の方が絶対ではないイメージ」
「法律は絶対守らなければいけないイメージ。条例はどっちかというと、ルール・規則に近いというか…」
(小島弁護士)
Q.「条例は罰則なし」という意見が多かったが?
「条例は罰則がないものも多いが、罰則がある条例ももちろんある。必ずしも罰則がないとは言い切れない」
写真を撮る時は“ワタリガニ”ポーズ?
「条例」と聞くと堅苦しいイメージもありますが、実は「ご当地条例」と呼ばれるユニークな条例も全国各地に存在します。
例えば、北海道中標津町には、牛乳での乾杯を推奨する条例が。青森県板柳町には「りんご丸かじり条例」が。さらに大阪府泉佐野市には…
(泉佐野市農林水産課 吉備俊彦さん)
「ワタリガニの普及の促進に関する条例。通称“ワタリガニ条例”」
大阪府内でも有数のワタリガニ漁獲量を誇る泉佐野市。“ワタリガニ条例”の第5条には…
「市民、事業者及び市は、写真を撮影する際にワタリガニを表す姿勢をとることを求める」
(吉備さん)
「脇を上げて…大げさにすると顔の真横にカニの爪がくる感じで“ワタリガニ”とします」
乾杯する時は“トマトジュース”で⁉
もちろん「ご当地条例」は東海地方にも…
愛知県東海市には、“ある野菜”に関する条例があります。
(東海市健康推進課・天野愛作総括主任)
「『東海市トマトで健康づくり条例』というユニークな条例を制定して、事業を実施しています」
市民の健康作りに対する意識の向上などを目的に制定。トマトジュースによる乾杯などを推奨しています。東海市では毎日10日を「トマトの日」と命名。
「トマトの日」には、市内の小中学校で、トマトを使った給食が提供され、児童らの人気を集めています。
なぜ“トマト条例”が制定された?
さらに、条例に基づいたこんな施設も。
(天野総括主任)
「こちらが“とまと記念館”になります」
条例に基づき運営している「とまと記念館」。こちらでは、管理栄養士が中心となり、トマトにこだわった健康メニューを提供。
体に優しく、さらにリーズナブルということもあり、平日であっても、ランチ時には大盛況!
(名古屋から・東海市出身)
「一つ一つに真心がこもっている料理。おいしくいただいた」
ではそもそもなぜ、東海市で「トマト」なのでしょうか?
(天野総括主任)
「実はカゴメさん」
日本初の「トマトジュース」を作った食品メーカー「カゴメ」。その創業地が東海市という縁で「トマト条例」が制定されたといいます。
(天野総括主任)
Q.東海市のトマトの生産量は?
「生産は…そんなに…」
トマトジュースだけじゃない…江南市は“地酒”で乾杯!
岐阜県との県境にある愛知県江南市にも、ユニークな条例が!
(江南市商工観光課・佐藤雅也主任)
「江南市乾杯条例です」
通称“地酒で乾杯条例”。市民に、もっと地元のお酒に親しみを持ってもらおうと、今から約10年前に制定されました。
(佐藤主任)
「宴会などの乾杯の際に、地酒を使ってほしいという思いがある」
Q.お酒の特徴は?
「私あまりお酒が強い方ではなくて…(苦笑)」
ということで、江南市の蔵元に取材に行くことに。
市内に3つある蔵元の一つ「丸井合名会社」。創業から230年以上経つ、県内でも指折りの老舗蔵元です。
(丸井合名会社 村瀬幹男代表)
「今年初めて作ってみたお酒。雄町という人気のお米を初めて使って作りました。大体どのお酒を飲んでもジューシーで、お米をしっかり溶かして、しっかり絞ったお酒」
Q.江南市は酒造りに向いている土地?
「元々はお米もたくさんとれていたし、水も豊富だった。たくさん酒蔵もあった。少なくなってきているが、今でもまだ愛知にはたくさんの酒蔵がある」
Q.江南市の乾杯条例は知っている?
「知っています。条例が施行された時にだけ、ちょっとお客さんが来てくれたりしたが、その後は正直誰からも忘れ去られているような…(苦笑)」
“ご当地条例”を制定する理由とは?
では、江南市に住む“飲んべえ”達は、この条例を知っているのでしょうか?地酒を取りそろえる居酒屋で聞いてみると…
(江南市民)
「今初めて知りました」
Q.地酒を飲んだことは?
「ないです」
Q.飲み会で地酒で乾杯する機会は?
「ないですけど、これから取り入れます」
「知らなかった。今後は地酒で乾杯しようかなと」
多くの人が知りませんでしたが、「条例が地酒を飲むきっかけになる」と話してくれました。各自治体が“ご当地条例”を制定する理由について、専門家は…
(小島弁護士)
「地方の特産品を地産地消で進めていきたい。『こんな商品がある』『こんな特産物がある』ということを、広げていく推進していくことを目的とした条例もある」
皆さんが住んでいる場所にも、一風変わった“ご当地条例”があるかもしれません。
CBCテレビ「newsX(ニュースクロス)」 2025年11月5日放送より





