
「おりこうでちゅね~」 無意識に使う”赤ちゃん言葉” 乳幼児の言語発達にいい影響が?!研究結果も ”赤ちゃん言葉”は愛情表現の形

「おりこうでちゅね~」「○○ちゃーん、かわいいね~」「どうちたの~」
生後1か月の赤ちゃんに、こう話しかけるお母さん。
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赤ちゃんに対して、いわゆる”赤ちゃん言葉”でなぜか話しかけてしまう。このような経験は、誰にでもあると思います。
”赤ちゃん言葉”は専門的には「マザリーズ」と呼ばれています。英語の「mother(母親)」から作られた言葉です。
赤ちゃんに話しかけるときに、無意識に声の調子がややが高くなり、話し方がゆっくりになるものですが、実はそれが赤ちゃんの言葉の発達にいい影響を与えているというのです。どういうことなのでしょうか。
幼児教育について研究している「マザリーズの会」代表の児玉珠美さんに「マザリーズ」について聞きました。
「マザリーズ」を使うのは母親だけじゃない?
赤ちゃん言葉で自然と話しかけてしまうことは、母親だけでなく、父親や祖父母、血のつながりがなくても、守ってあげたくなる存在が目の前にいる人なら、誰にでもあり得る現象で、愛情表現の一種だと考えられています。
児玉さんの実験では、赤ちゃんはマザリーズで話しかけられた方向に顔を向けることが分かっています。
さらに、赤ちゃんが泣いていてもマザリーズで話しかけると泣き止むという実験結果もあり、これはマザリーズの音声が赤ちゃんに安心感を与え、感情の安定を促していることを示しています。
これらのことから赤ちゃんは大人向けの話し方よりも、赤ちゃん言葉である「マザリーズ」を好むことが明らかです。
「マザリーズ」は言語発達にいい影響!?
さらに、こんな影響も・・・
(マザリーズの会 児玉珠美さん)
「言葉が理解できるようになると、マザリーズで語りかけることが言語発達にものすごく大きな影響を与える」
児玉さんによると、生後1年あまりの期間は、言葉を発する土壌が形成される時期だといいます。
マザリーズは、フレーズがはっきりしていて真似しやすく、特徴のある音声になっています。さらに、抑揚をつけて誇張する表現方法は、赤ちゃんにとって単語や文章の区切りが分かりやすく、文法を理解する手掛かりになるといいます。言葉を理解する1歳から2歳のころにはマザリーズで語りかけたことによって、脳の言語野が活性化され、言語の発達が促されます。
これは実験でも証明されていて、赤ちゃんの脳内のヘモグロビンの量を計測して、脳のどの部分が働いているかを観察した研究では、記憶や感情をコントロールする脳の前頭葉が、母親が大人向けの話し方で物語を読んだ時より「マザリーズ」で読む時の方が活発になることが分かりました。
「わが子が絵本に集中するのがわかる」
「マザリーズ教室」を開催している児玉さん。プログラムのひとつに、“怒った「あ」”や“楽しい「あ」”などの発声練習をして、声に感情を乗せる訓練があります。表現をコントロールすることで親が安心感のある声で絵本を読み聞かせられるように指導しているのです。
これにより、子どもはより集中して絵本の読み聞かせに耳を傾けるといいます。
(児玉さん)
「マザリーズ教室に参加したお母さんたちは、マザリーズレッスンに参加した後、絵本の読み聞かせをすると『わが子が集中するのがわかる』と話してくれる」
つまり、”赤ちゃん言葉”で語りかけることは、単なる愛情やかわいがるというだけでなく、子どもが成長していく中で役立つ大切な関わり方なのです。
さて、マザーリーズが愛情表現の一つということはお伝えした通りですが、こうした”赤ちゃん言葉”で語りかける対象は、赤ちゃんだけに限りません。
愛情を注ぐ対象や守ってあげたい対象であれば、例えば、犬や猫などのペットに対しても、つい「かわいいね〜」「よちよち」などと”赤ちゃん言葉”で話しかけてしまいます。これは、相手が人間でも動物でも、私たちの愛情表現の形は同じだということの現れなのです。





