名古屋駅前の老舗デパート、名鉄百貨店が2026年2月に閉店し、71年の歴史に幕を閉じました。しかし、たくさんのお得意様の情報を蓄積している外商は、百貨店が「のれん」を下したあとも、新たな形で営業活動を始めています。
復興の象徴「名鉄百貨店」の閉店と残された精鋭部隊

名鉄百貨店の開業は1954年です。焼け野原だった戦後の名古屋の復興とともに歩んできた私鉄系のデパートで、東海地方の人たちの暮らしを支えてきました。名古屋鉄道は、名古屋駅周辺の再開発に伴い百貨店の閉店を決定しました。ただ、その中にあって閉店後も業務を継続している社員がいます。
名鉄生活総研 名鉄百貨店事業部 伊藤保吉さん:
「商品を届けるのは刈谷市の方の顧客ですね、お届けします。かなり美術品が好きな顧客ですので、作品をご覧いただこうと思っています」
店舗を失っても揺るがない、30年来の信頼関係

名鉄百貨店の外商員歴29年、伊藤保吉さん。伊藤さんらおよそ30人の外商員は、百貨店の閉店後、名鉄生活創研に移籍しました。この日の訪問先は30年来のお得意様。新進気鋭の作家の絵画を購入しました。
お得意様:
「名鉄がなくなってしまい、こういう良い作品を目にする機会が減ってしまうのが残念だと感じています」
百貨店の枠を突破。130社の商材が武器に

名鉄グループは、本業の鉄道を中心に東海地方でさまざまな事業を幅広く展開しています。名鉄百貨店もそのうちの一つでした。百貨店は閉店したものの、外商部門はそのまま残り、グループ全体の営業部隊として再出発することになったのです。

例えば、こちらはグループの名鉄観光バスが導入した高級観光バス「LUVIA(ルビア)」。ゆったりとくつろげるシートで巡る富裕層向け豪華バスツアーは、北海道5泊6日のコースで1人48万円です。名鉄グループおよそ130社のあらゆる商材が外商員の売り物です。
名鉄生活総研 名鉄百貨店事業部 伊藤知仁部長:
「グループが持っている資産というものをまとめて外商でPRしていく。グループ全体の営業部隊として、名鉄百貨店の外商部があるという形です」
名駅の店から地域全体へ。再起動する外商戦略

次も長年のお得意様です。今回おすすめするのは、美術品や高級ベッド、それに高級マンション。客の目に留まったのは、例の高級バスツアーでした。これまで蓄積してきた顧客情報が外商の武器になります。百貨店という枠が外れたことで、提案できる幅も広がりました。
名鉄生活総研 名鉄百貨店事業部 伊藤保吉さん:
「例えば、グループで名鉄協商さんがあり、駐車場管理などをしています。いい条件のところに土地を持ちながら活用されていないという声があれば、そういった提案も可能です」

これまで百貨店の売り上げのおよそ4分の1を担ってきた外商部。活動の舞台をグループ全体に移し、顧客とのつながりを商機に変えて再起動を目指します。
日本経済新聞社 名古屋支社 長尾伊紘記者:
「これまで名鉄百貨店の外商は、名古屋駅の店舗を利用してもらうことを前提に顧客の開拓をしてきました。しかしその店がなくなったことで、従来の百貨店の客層にこだわらず、新たな顧客の開拓ができるようになった。今後は百貨店の枠を脱して、幅広い視野で商機を生み出せるかどうかが注目されます」


