日本銀行の政策金利引き上げを受け、住宅ローンをめぐる環境が大きな転換期を迎えています。現在、新規借入の7割以上が「変動金利」を選択しているといわれる中、今後の金利上昇への不安も高まっています。
名古屋証券取引所とテレビ愛知が共同で運営するYouTubeチャンネル「あしたのマネー」では、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏を招き、金利の仕組みから、プロが実践する住宅ローンの選び方まで深掘りしました。
「短期金利」と「長期金利」の違いを知る

住宅ローンの金利を理解する上で欠かせないのが、「短期金利」と「長期金利」の性質の違いです。
【短期金利(変動金利に影響)】満期が1年未満の金利。日銀が誘導目標とする「政策金利」に強く影響される。日銀が利上げをしない限り、基本的には上がりにくい性質を持つ。
【長期金利(固定金利に影響)】
代表的な指標は「10年物国債の利回り」。今後10年間の物価予想や経済状況など、「将来の見通し」を反映して動くため、先行して上昇する傾向がある。
後悔しないための判断基準は「1%の差」

変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか。永濱氏は一つの明確な基準を提示します。
「変動金利と固定金利の差が1%以上あるなら、変動金利で良い」
その理由は、日本の経済力にあります。政策金利が1.75%(現在の0.75%からさらに1%上乗せ)を超えるまで利上げが行われる可能性は、現在の日本の潜在成長率から考えると極めて低いという見立てです。
一方で、「金利差が1%以内であれば、安心を買う意味で固定金利を選ぶのも手」としています。
専門家も「変動金利」を選択している理由

番組内では、永濱氏自身も「変動金利」でローンを組んでいるという驚きの事実が明かされました。
「将来的に金利が上がったとしても、最初に固定金利で高く設定される利息分を上回らなければ、トータルでは変動の方が得になる。今の金利差であれば、そのリスクを取る価値がある」と、プロの視点での合理的な選択を語りました。
「繰り上げ返済」よりも「積立投資」?

日本人は「借金を早く返したい」というマインドが強い傾向にありますが、永濱氏は冷徹な比較を推奨します。
「ローンの金利」と「 投資の運用利回り」を比較し、「住宅ローンの金利を上回る利回りで運用できるのであれば、無理に繰り上げ返済をする必要はない。また、住宅ローン減税の恩恵を最大限に受けるためにも、残高を維持するメリットがある」とアドバイス。NISAやiDeCoといった制度を賢く併用することの重要性を説きました。


