
都市部で相次ぐ豪雨被害 原因は“6月の早い梅雨明け”か…10月も記録的豪雨の可能性 四日市の地下駐車場では水没した車の搬出作業が始まる

9月12日の記録的な大雨で水没した三重県四日市市の駐車場で、車の搬出が始まりました。駐車場に残された車は274台。搬出作業の完了はいつになるのでしょうか。今年9月は四日市以外の都市部でも豪雨被害が相次ぎました。その原因は…?
水没した地下駐車場から車の搬出始まる 搬出完了はいつ?

三重県四日市市の「くすの木パーキング」。9月12日の記録的な大雨で、この地下駐車場では274台の車が水没しました。
車の所有者と連絡がついたことから、水没した車の搬出作業が9月29日に開始され、午前10時ごろ、レッカー車2台が地下駐車場に入り、順次車両を運び出しました。
搬出された車はドア付近に泥がついていて、浸水した位置がはっきりわかる状態でした。
車はいったん「仮置き場」に運ばれ、その後、所有者に引き渡される予定となっています。

しかし、この日に搬出されたのはわずか2台のみ。管理会社によると、駐車場内の車が通路をふさいでいたり、車同士が折り重なるような状態になっていて、すぐに搬出できる状況ではないということです。
そのため、9月29日・30日は搬出するための整備作業を行い、本格的な搬出は10月1日から着手。全国から26台のレッカー車を集め、45人のスタッフで搬出作業を行う予定ですが、それでもすべての車を運び出すのは10月4日ごろまでかかる見込みです。
車の搬出費用については、駐車場から「仮置き場」に運ぶところまでは、管理会社が補償することが決定していますが、車体の補償は、止水板の故障や対策の放置といった事情もあり、協議の長期化が予想されます。
岡崎市や関東でも…各地で起きる都市部の浸水被害

四日市市での大雨被害の影響はまだまだ続いていますが、最近、都市部で道路が冠水するなどの被害が増えているようです。
9月5日、愛知県岡崎市では台風15号の影響で、最も激しい時間帯で1時間に37.5ミリの雨が降り、道路が冠水するなどの被害が起きました。
関東でも9月に大雨が降り、各地で冠水被害が出るなど、都市部での大雨が多いという印象です。
なぜ今年は都市部での大雨が多いのでしょうか。地球規模の異常気象を研究する三重大学大学院の立花義裕教授に話を聞きました。
立花義裕教授:
「ベースには地球温暖化がある。温暖化の影響で今年は日本周辺の海面水温が過去一番高い。海面水温が高いと水蒸気がたくさん蒸発し、それが雲の種になって雨雲が強まる。そういう雨は山よりも都市部で降る」

四日市市で大雨が降った前日(9月11日)の海面の水温と平年値の比較を見てみると、日本列島の周りが真っ赤になっていました。赤いほど平年より水温が高いことを示しています。
今年は特に海面水温が高くなっている原因について、立花教授はこのように分析します。
立花義裕教授:
「今年は梅雨明けが早かった。6月の中旬頃から雲が減り、日射が長くなって海面水温が高くなりやすい状況だった。6月は晴れていれば1年で最も日照時間が長くなる。そこで夏の猛暑を迎え、海面水温が上昇したまま9月になり、豪雨が降る。梅雨明けが早かったことが今に影響している、時間差攻撃で」
また、海面水温は一度上がるとなかなか下がらないため、10月に入ってからも記録的大雨になる可能性があるということです。
昔とは異なる温暖化時代の豪雨。避難経路やハザードマップの確認など、今できることを一つ一つ備えておく必要がありそうです。