
夏だ!外遊びだ!防災キャンプだ! 食事、休憩スペースにタープを利用【暮らしの防災】

夏休みを利用して、家族でキャンプを楽しむ方も多いかと思います。キャンプなどアウトドア活動の「スキル」「知識」「ギア(道具)」は、避難生活に役立ちます。最近はキャンプを始め、野外活動を通して避難生活対策を学ぶ「防災キャンプ」という考えが広まっています。では、何を学ぶのか?キャンプは普段の暮らしと比べて不便です。その不便さの中で「生きる方法」「暮らす方法」を学びます。また、「ギア(道具)」の選択や使い方にも防災的な視点が必要です。第1回は「住環境」です。
不便さ、暗さを学ぶ

「防災キャンプ」で学ばなければならない「最も大切なこと」は、「不便さ暗さを体験する・知ること」です。
キャンプと避難生活はベツモノです。キャンプのノウハウやギア(道具)が、避難生活に役立つことは確かですが、「気持ち」「モチベーション」は全く違います。しかし厳しい避難生活で、身につけたスキルを発揮しないといけません。
そこで「環境・コンディション」を学んでおく・予習するのです。災害で「不便な暮らし」は、いきなりやって来ます。その心の準備になります。
防災キャンプで不便な暮らしを体験

長期間に及ぶ避難生活にテントは向いていません。設営場所、水はけ、テントの耐久性など課題が多いからです。避難生活は避難所か安全が確保された(大きな被害を免れた)自宅などが基本です。
ここでは普段のキャンプ(防災キャンプを含む)でのテント選びを紹介します。テント暮らしは狭くて不便です。キャンプではそれも楽しみの一つですが、防災キャンプで不便な暮らしを体験します。狭いテントの中で、スペースを活用する方法を考えましょう。
テントの種類はいろいろありますが、キャンプに慣れていない方は組み立てやすいものを選んでください。自立式のものがおススメです。
複数人用のテントは家族団らんの場、寝るスペース、着替えスペース、物置き場所として使えます。
1人で居ることが好きな方にはソロテント(1人用)があります。ソロテントは着替え場所、物置きなどにも。複数人用のテントに加え、サブでソロテントを1つ持っていると便利です。例えばマイカーでの車中避難では、ソロテントが1つあるといろいろ活用できます。
タープは必須

何かと役立つのがタープです。タープとは「いわば壁の無いテント」です。極論を言うとブルーシートみたいなものです。かつては「ポールやロープで設営するヘキサタープ」が主流でしたが、最近は「自立するタイプ」も増えてきました。
タープの下は調理や食事、休憩スペースとして使います。日陰を作れ、風が吹き抜け、雨対策にもなります。タープも「自分で組み立てやすいもの」「使いやすいと思うもの」を選んでください。
テントの中では火を焚くことはできません。テントの中で火を使うと煙が中にこもり、また二酸化炭素中毒(一酸化炭素中毒も)の恐れがあります。そこでタープが必要になってくるのです。タープの下では焚火をすることもできますが、この場合も、火が燃え移らないように注意が必要です。
カーサイドタープ

タープを車の横に設営すると「車内+タープの下」がリビングスペースとして使えます。車中避難の時、こんなアレンジができれば生活スペースが広がります(この場合、ヘキサタープが便利)。もちろんこのような設営スペースを確保できるのが前提です。最近は「カーサイドタープ」というものも出ているようです。
但し、車の近くで火をおこすことも避けたいところです。防災キャンプではカセットコンロや、キャンプ用のコンロを使っての空間の配置や、調理に慣れておくことも大事です。
防災キャンプは、心の余裕・物資の余裕がある中で、避難生活に役立つことを体験・学ぶことが出来ます。何かと不便な中、どうすればストレスなく時間を過ごせるのか、工夫・トライしてみてください。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。