全国各地で商店街のシャッター通り化が問題になっている中、ある取り組みをきっかけに、人出を取り戻した奈良県の商店街を取材しました。
1日平均通行量が過去最多の2万人に 奈良「もちいどのセンター街」の再生

訪日客で賑わう奈良市。観光地が密集するエリアからは少し離れた商店街、「もちいどのセンター街」。
1日平均の通行者は一時7000人まで減り、廃業した店も増えていたと言いますが、現在はシャッターを下ろした店舗はほとんどなく、1日平均通行量は2025年に過去最多の2万人を記録しました。

客の目の前で加工する革製品の店など、個性的な店舗が多く並び、いわゆる全国チェーンはありません。独自の店が増えた結果、外国人を含めた観光客を引きつける商店街になりました。

なぜ個性的な店が増えたのか。鍵となった仕掛けが、商店街の一角に設けられた施設にあります。一つ一つが店舗にしては小さなコンテナ型のブース。それが奥までみっしりと並んでいます。
伝統的な刺繍をあしらった服や雑貨を販売する店に、ピアノの音色とひよこのキャラクターを堪能するカフェ。2026年春開業した飴細工店もあります。注文から3分で作り上げる実演販売が売りです。

飴細工 あめのとり 山本芳樹店主:
「体験会のようなことも、これぐらいのスペースがあれば色々できます。そういう新しいことに挑戦し続けていきたいです」

2025年の10月にオープンした、海外で人気の高いサワードゥという天然酵母を用いたパン店もあります。
サワードゥカフェ 寧奈 上村剛店主:
「せっかくの人生でもあるんで、一旦ちょっと全然違う方向のことやろうかなってなった時に、チャレンジャー募集というのがあったんですよね」
若手起業家を育てる仕掛け「夢CUBE」が画期的

ここは「夢CUBE」という、新規出店者を支援するインキュベーション施設。出店期限は3年までですが、家賃は共益費込みで月4万円からと格安です。商店街の先輩経営者からのサポートも受けられます。およそ20年前に店舗の閉店が相次いだ頃、夢CUBEを立ち上げた商店街組合の魚谷和良理事長に話を伺いました。

もちいどのセンター街協同組合 魚谷和良理事長:
「そのままでは本当にシャッター街の商店街になってしまうと。単にインキュベーションで巣立った人が商店街の空き店舗に入るだけでなく、商店街の運営にも関わってくれる。商店街にとても大きな力になった」

県外からも客が訪れるという人気のかき氷店も、元は夢CUBEの店。2017年に卒業し、商店街内の空き店舗に移転しました。店主の平井宗助さんは当時を振り返って語りました。
かき氷 ほうせき箱 平井宗助代表:
「この賑わいのある商店街を使えるというのは本当に大きな学びになり、自分たちの挑戦や試行錯誤を十二分にできる、そんな期間だったなと思います」
卒業生が商店街の2割を占め、新たな活気を生んでいる

今では全108店舗のうち、14店舗が卒業生の店。現在の夢CUBE店舗を加えると全体の約2割を占め、活気を生んでいます。

日本経済新聞社 古田博士奈良支局長:
「担い手不足により多くの商店街のシャッター通り化は全国で起きている現象です。意欲のある経営者を受け入れて育成するビジネスモデルを確立し、うまく新陳代謝を進めています。ヒントを得ようと全国の商店街からの視察も相次いでいます」
もちいどのセンター街協同組合 魚谷理事長:
「今の時代に適した商売の仕方やサービス、新しい価値観の人と一緒にやっていく。その部分によって、次の時代も生き残っていける商店街になるのでは」


