
ETCシステム障害 根本的な原因は不明 専門家「お金より、通行を優先すべき」

週末、多くの人に影響をもたらした高速道路のETCシステム障害。7日、応急的に復旧したものの懸念はぬぐえない状況です。

7日の午後2時に「応急復旧」が発表されて以降、一旦は普段の落ち着きを取り戻した、高速道路のETCシステム。
6日から7日にかけ、東名高速など1都7県、106カ所の料金所などで発生し、一時、大渋滞やそれに伴う事故など、この地方でも大混乱に…。
ネクスコ中日本は、7日改めて報道陣に経緯を説明しました。
当初は、障害発生の前日に行っていたシステム改造が原因としていましたが、この作業は無関係で、別の不具合が起きたことが障害の原因と明らかにしました。
ただ、その不具合がもたらされた根本的な原因についてはまだ分かっていないということです。
「遺憾に思っている」

「本件については私も大変に遺憾に思っている」(国土交通省 中野洋昌 大臣)
8日の会見で、今回起きた「ETC障害」について、苦言を呈した中野国交大臣。
ネクスコ中日本に、早期の原因究明と再発防止策の検討を指示しました。
「大規模システム障害というのがやはり想定をされていなかったのではないかということであります。再発防止策をしっかり整理をするようにと全体に指導を行っていきたい」(中野大臣)
ネクスコ中日本は、原因の究明を進めるとともに、本格復旧に向けた作業を行うとしていますが、復旧時期についてはまだ見通しが立っていない状況です。
高速道路の利用者からも、不安の声が聞かれました。
「今後、影響が出てくる可能性もあるんでひとごとではない、高速もよく使うので」(運送業)
「入ってみないとわからないのは困っちゃいますよね。ゲートで足止めされていたという話も聞いたので、そうなってしまうとかなり影響が出てしまうかな」(運送業)
今後同様のトラブルが起きる可能性も

結果的には、利用者へ大きな影響をもたらしたシステム障害。
自動車評論家の国沢光宏さんは今後も同様のトラブルが起きる可能性について指摘します。
「現在(トラブルの)原因が分かっていないと言われています。最初、新しく入れたソフトが原因だと言っていたが、実際はそれではなかったということなので、今後またこういうことが起きる可能性は十分出てきたと思う」(自動車評論家 国沢光宏さん)
本格復旧の目途が立たず不安定な状態で動いている現在の状況。
もし、多くの車が通行する大型連休中などに再び障害が起きた場合、大きな混乱を招く恐れがあると指摘します。
「例えば大渋滞の時に料金所が動かなくなったということになると、3時間や4時間の渋滞ですまなくなると思う。そうすると当然物流にも影響が出るしさまざまな問題が出てくると思います」(国沢さん)
専門家は”対応の遅れ”を指摘

今回、ネクスコ中日本は、渋滞解消などのため、一部の料金所はゲートを開放し、清算手続きをせずにそのまま車を通行させる形に。
支払うはずだった料金はホームページなどでの自己申告の上、後日清算するという対応をとりましたが。
「払わない人もでてくるんじゃないですか。もしかしたら正直に払えばいいけど、請求するんですかね?」(運送業)
「ネットで見て、実際にどういう精算の仕方をするのか見たが、どこを何時何分に通ったというところまではやらないといけないし、めんどくさくて払わない人もいるなかで、自分がめんどくさい思いをして払うということを考えると、何をしているんだろと思うことがあるかなと」(運送業)
さらに、この「ゲート開放」が行われたのは、障害の発生から約12時間半後。
国沢さんはネクスコ中日本の”対応の遅れ”を指摘します。
「今や高速道路はなしでは、この国は成り立っていけないので、お金を取ることよりも、通行させることを優先すべきだというふうに思います。本当に早い段階で、ETCがトラブルを起こしたら、ゲートを開放するということを決めてほしいと思う」(国沢さん)