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【戦後80年】「話す必要ないと…」胸にしまった逃避行の“記憶” 90歳の女性が初めて手記に

メ~テレ
08.12(火)17:34

シリーズでお伝えしている「戦後80年」。1945年の”戦争の終わり”は、少女にとって過酷な逃避行の始まりでした。 長年、胸にしまっていた記憶を形に残そうと、筆をとった女性がいます。

当時の記憶をたどり去年手記を綴った愛知県豊川市に住む伊藤操さん(90歳)

 4冊のノートに、書き綴られた80年前の記憶――。

 「母と弟と3人、抱き合って寒さをしのぎましたが、母の栄養のない乳では弟は泣くことも這うこともできず」 

 愛知県豊川市に住む、伊藤操さん、90歳。

 「私の入学式。満州でね」(伊藤操さん)

 “戦争の終わり”を、日本から遠く離れた「旧満州」で迎えました。

 当時の記憶をたどり、手記を綴ったのは、去年のことです。

 長年、家族に対しても、過去の体験を話すことをためらってきました。

 「話したくないというよりか、話す必要がないと思いましたね。壊したくない。幸せに生きているというか、幸せでないかもしれないけど、平凡な生活で、一番いいんじゃないのと思うわけです」(伊藤さん)

穏やかで豊かな日々の運命が大きく揺らいだのは、終戦直前

戦争の終わりを「旧満州」で迎えた伊藤操さん

 伊藤さんがこれまで話して来なかった記憶――。

 現在の中国東北部に位置する、旧満州。

 1932年に、日本により「満州国」が建国され、“開拓政策”の一環で、多くの日本人が移住しました。

 「レンガ造りのアパート、最初に行ったところ。冬になると氷の膜ができて、スケートができる。そこで大会があった」(伊藤さん)

 穏やかで豊かな日々。しかし、運命が大きく揺らいだのは、1945年8月9日。

 終戦直前に、ソ連軍が満州へ侵攻したのです。

 父親は現地に残り、伊藤さんは、母と生まれたばかりの弟とともに、逃げることを余儀なくされました。

「青酸カリを渡され…」過酷な逃避行

「自決」を促されたりした記憶も、手記にはつづられている

 そのとき、手渡されたものは――

 「日本の軍人の嫁や子どもが『おかしな死に方をしてくれるな』と言われて、青酸カリを渡された。地獄ですよ。逃げる先々が、何にもないところに行くわけですもんね」(伊藤さん)

 ソ連軍の機銃掃射を受けたり、身を寄せた先で、「自決」を促されたりした記憶も、手記にはつづられています。

 「下の階にいた人が、青酸カリを飲んだと、見に行ったら本当に苦しんでいた。『あんなに苦しい思いをするなら、戦車にひかれたほうがいい』と言って、また戻って、隅っこで小さくなっていました」(伊藤さん)

 逃げ続ける日々で。生後8カ月だった弟が衰弱し、息を引きとりました。

 「穴がいっぱい掘ってあって、四角い穴が亡くなった人を埋める。大人でも子どもでも。ただ包んでね。持って行って、土をぽろぽろと、こぼしながら泣きました」(伊藤さん)

 終戦から1年以上たち、伊藤さんは、命からがら母とともに、帰国しました。

「想像を絶する世界」伊藤さんの体験を次世代へ

伊藤さんの体験を、次の世代に残そうとする鈴木みゆきさん

 80年もの間、胸にしまわれていた伊藤さんの体験を、次の世代に残そうとした人がいます。

 鈴木みゆきさん、59歳。

 鈴木さんが働いていた高齢者施設で、利用者の伊藤さんからノートに書かれた手記を見せてもらいました。

 「小さい子が、すごいことを経験したんだなと、本当に読んだ時に泣けてきてしまった。操さんの思いをちゃんと読めるものにしてあげたい」(鈴木みゆきさん) 

 鈴木さんは、手書きの手記を多くの人が読めるように、パソコンで書き起こす作業に取りかかりました。

 ノートに綴られた言葉を何度も読み、わからない部分を、伊藤さんに尋ねる。その作業は、戦争と向き合う時間でもありました。

 「想像を絶する世界。苦しくなる。読んでいて、苦しくもなったので、本当にそんな時代がもう来ない方が良いと思い、残したいというのもありました」(鈴木さん)

80年心に封じ込めていた記憶を残した理由

80年心に封じ込めていた記憶を残した理由を話す伊藤操さん

 完成した手記は、名古屋市の「戦争と平和の資料館 ピースあいち」に寄贈されました。

 他の戦争体験者の手記とともに、冊子にまとめられ、年内にも販売される予定です。

 忘れたい、でも、忘れられない――。

 80年心に封じ込めていた記憶を残した理由。

 「もちろん戦争はしちゃいかんよ。何の罪もない人を………ねぇ」(伊藤さん)

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