
小児がんの患者らを応援する『あいち小児がんの会』がNPO設立 長期付き添いの家族も支援へ


9月は「世界小児がん啓発月間」です。NPO法人「あいち小児がんの会」が、小児がんの子供と家族を支える活動を続けています。
■全盲のプロレスラーも…祭りの会場で「レモネードスタンド」
9月15日、名古屋市千種区で開かれた「今池まつり」。設置されたリングの上では、熱いファイトが繰り広げられていました。プロレスラーの大舘裕太選手は、小児がんを経験して全盲です。

試合を協賛したのは、「あいち小児がんの会」の豊島嘉子理事長(41)です。レモネードを売った収益を小児がん患者と家族の支援にあてる活動「レモネードスタンド」を、会場で開いていました。

『あいち小児がんの会』の豊島嘉子理事長: 「始めたきっかけは自身の息子が小児がんだった経緯があったので、たくさんの人の思いがつながって、治療や開発につながればいいなという思いです」

会場には、小児がんの経験者や、一緒に闘った家族もたくさん訪れていました。当事者だから話せることもあり、それぞれの居場所にもなっています。 この「レモネードスタンド」の活動は、3年で50回を超えました。豊島さんの活動には、全盲のプロレスラーの大舘さんや、がんサバイバーの中学3年生・尾崎このかさんも加わっています。
■シンポジウムで伝えた「小児がんは『かわいそうじゃない』」
9月は小児がん啓発月間です。豊島さんら「あいち小児がんの会」は9月14日、名古屋でシンポジウムを開催しました。 登壇した名古屋大学附属病院の高橋義行副病院長は、入院は数カ月から2年に及び、治療後も低身長や不妊などの合併症が課題となるといった、小児がん治療の現状を説明しました。

がんサバイバーの中学生・このかさんは、1年1カ月の入院を経験しました。 尾崎このかさん(中学3年): 「(治療後は)勉強についていけるか。聴覚障害により、大きな音が苦手となった。入院中も大変ですが、復学はもっと大変だなと思いました」

このかさんの母親が、当時の思いを語ります。 このかさんの母・尾崎奈美花さん: 「私は仕事を辞めることで収入もなくなり、残された家族の生活と入院生活の二重生活に、金銭的にもすごく厳しくなりました。姉妹の心の負担も大きく、下の子は学校に行けなくなることもありました」

長期の付き添い入院について、豊島さんらが家族76人に行ったアンケートでは、生活費や交通費など経済的負担に加え、病院内での食事や寝るスペースの確保といった心理的な負担にも、家族が悩まされることが紹介されました。 『あいち小児がんの会』の豊島嘉子理事長: 「『小児がんはかわいそうじゃない』ということを強く伝えたいです。小児がんと向き合う子供やご家族が、安心して生活できる社会を目指していきたいと思っています」

『あいち小児がんの会』では今後、付き添う家族の体のケアなどにも取り組んでいくとしています。