血液吸う機会を狙っている… 感染症=SFTSを媒介することもある「マダニ」専門家に生息場所やかまれた時の対処法を聞いた

マダニが媒介する感染症で体調をくずす人の事例を耳にします。東海地方でも、これまでに死亡例が報告されています。屋外でかまれたり、ペットに付着したマダニにかまれる場合もあります。注意すべきことを専門家に取材しました。
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名古屋市内でも比較的緑が豊かな守山区、その里山を案内していただいたのは寄生虫学が専門でダニの生態を30年以上研究している愛知医科大学の角坂照貴研究員。マダニは一体どこに潜んでいるのでしょうか?
(愛知医科大学 角坂照貴 研究員)
「自然豊かな場所なら、どこにでもいる」
一般的にマダニは、こうした里山など自然豊かな場所に生息。そんな中でも…
(角坂研究員)
「道端のシダや笹の裏側にいる」
角坂さんによると、この10年ほどで人の生活圏でも確認できるようになったとのこと。渡り鳥やシカを媒介して公園の土や草に潜む場合もあるといいます。
(角坂研究員)
Q.名古屋の街中にもいる?
「コンクリートやアスファルトの上にはいないが、公園のような場所には、いる可能性はある」
マダニが潜んでいるのは動物や人が通る場所
この日、角坂さんが持参していたのは白い布。
(角坂研究員)
「この白い布で、ただなぞるだけで、マダニがくっついてくる」
特段ポイントを決めず、その布で道端にあるシダの上を布で何度かなでてみると…見つけたのは体長1ミリほどの「チマダニ」。感染症を媒介する可能性があるマダニです。
(角坂研究員)
「今、どこにいたかというとシダと落ち葉のキワ。だぶん落ち葉の上にいた」
同じように布を使ってマダニ捜索をしていた取材スタッフが見つけたのは「キララマダニ」。人や動物の血液が大好きなマダニの一種。人をかむ症例が最も多いマダニです。
マダニが潜んでいるのは動物や人が通る場所。血液を吸う機会を狙っています。
(角坂研究員)
「動物の呼気や歩く振動、温度変化を感じて、先端に登って爪を出して待っている。マダニに刺されても全然気が付かない。痛くもかゆくもない」
やっかいなのはかまれた瞬間を認識しにくいこと。マダニの唾液には麻酔成分が含まれているからです。そのため長いと10日以上も血を吸い続けるケースも…
(角坂研究員)
「(例えば刺されやすいのは)柔らかいところ。子どもだったら髪の毛の中。お母さんがシャンプーしている時に気付くことが多い」
マダニにかまれたら皮膚科へ
ではもし、マダニにかまれてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
(角坂研究員)
「すぐに皮膚科に行ってください。自分で引っ張って取ると(マダニの)口だけ残って体が取れてしまい、炎症が起きることがある」
かまれたと分かっても、あわてずに皮膚科に行くのが一番だといいます。
(角坂研究員)
「マダニの全てがウイルスや病原体を持っているわけじゃない。マダニに刺されたからといってパニックにならないで、すぐに皮膚科に行く。マダニに刺されたことをドクターに言ってほしい」
そして、皮膚科にかかった後、2週間ほどは発熱がないかをしっかり経過観察してほしいということです。