トラック運転しながら箸持ってカップラーメン 「前を見ていません」有料道路で見た“危険” ながらスマホも 新名神6人死亡事故から1か月

3月、三重県の高速道路で起きた6人死亡の追突事故原因はトラックの「ながらスマホ」とみられますが、厳罰化されても減らない実態を取材しました

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3月20日。3連休初日の未明に起きた、大事故。高速道路上に残された大破した2台の乗用車。真っ黒に焼け焦げ、原型をとどめないほど大きくゆがみ、衝突の激しさを物語っています。

3月20日の午前2時20分ごろ。三重県亀山市の新名神高速で大型トラックが渋滞の列に突っ込み、2台の乗用車に乗っていた松本幸司さん一家5人と、髙峰啓三さんの合わせて6人が死亡しました。

トラック運転手「スマートフォンを見ていた」

(松田亘哲記者)
「水谷被告がトラックの運転席の前で捜査員と話しています」

トラックを運転していたのは水谷水都代被告54歳。過失運転致死の罪で起訴されました。調べに対し「スマートフォンを見ていた」と話しています。

スマホを見ながら、時速80キロ余りで走行していたという水谷被告。約10メートル手前で渋滞に気づき、急ブレーキをかけたものの間に合わなかったということです。

「ナビを見たりすることはある」「電話がきて『誰だろう』と…」

(トラック運転手)
「人ごとではない。気を付けなければいけないとは思う」

(トラック運転手)
「『スマホを見ていた』とあるが、それだけ目をそらすと怖い。自分は触らないようにしている」

10年以上前からその危険性が注目され、厳罰化もされてきた「ながらスマホ」。
ドライバーに改めて聞くと…

(トラック運転手)
Q.高速道路走行中にスマホを見たりしたことは?
「特にわからない土地に行くと、ナビを見たりすることはある」

(トラック運転手)
「日頃スマホを見ないのが基本だが、絶対とは言い切れない」
Q.危ない経験は?
「やっぱりある。電話かかってきて『誰だろう』とスマホ見たら…『危ないな』ということはあった」

今も見ることがあるという声が。ある有料道路で上から確認してみると…

運転中に“箸を使ってカップラーメン”

(田中希宜記者 愛知・大府市 4月中旬)
「このトラック運転中に通話をしていますね」
「スマホに手をやっていますね、このトラックの運転手も」
「片手でスマホを耳に当て運転していますね。気を取られてないでしょうか」

ながらスマホのトラックは決して少なくありません。中には…

(田中記者)
「前を見ていませんよ!箸を使って食べ物を食べています」

ハンドルから両手を離し、カップラーメンを食べています。となりの車線ギリギリまで寄っていますが、助手席に座る人も気にしていない様子。

今回、1時間半確認しただけで、「スマホの操作」が12台、スマホの画面を見るなど「よそ見」が7台、「耳に当てての通話」が6台、そのほか書類記入や食事など、「ながら運転」をしていたのは、あわせて29台にのぼりました。

運転中何に気をつける?“追い越し車線に比べ約3倍の車間距離”

では、ドライバーはどんなことに注意して運転しているのか。実際に助手席に乗せてもらいました。

(平林悠司さん トラックドライバー歴15年)
Q.スマホ触ることがある?
「走っている時は基本ない。電話がかかってきても走っていたら出られない」

トラックドライバーの平林さん。この日は約2時間半かけて、愛知県清須市から静岡県袋井市へ。

運転中はいつも「あること」に気をつけているといいます。

(平林さん)
「なるべく車間距離をとって、それなりの安全なスピードで走って、急ブレーキがなるべく入らないように運転している。急ブレーキを踏むということは、前にGがかかるから、荷物には優しくない」

いつも車間距離は、追い越し車線に比べ3倍近くとっています。

(平林さん)
「これくらい空いていると、サイドミラーを見ている時に、もしも前の車が急ブレーキをかけてもなんとかなる」
Q.これくらいだと安心?
「安心ですね」

目線が一定時間離れると“音”が 

また、走っているとこんなことも…

(車内アナウンス)「ピー 前方に注意してください」

(平林さん)
Q.今ピーって言いました?
「今、僕、そこの車検のシールを見ていたんですよ。『前を向きなさい』というセンサーが車についていて、それが作動した」
Q.うっとうしくない?
「普通に走っている分にはピーピー鳴ったりもしない。また元通り、普通に運転すれば良い」

目線が一定時間離れるとドライバーに音で知らせるシステムです。この運送会社では、新しいトラック全てに装備されていると言います。

このようなシステムが充実しても、事故が減っていない現状があります。

相次ぐながらスマホによる事故。
 
携帯電話を使用していたことによって発生した死亡・重傷事故は、去年が148件で、この10年間で最多となりました。携帯電話を使用していた場合、使用なしと比較すると、死亡事故になる割合は3.4倍も高くなっています。

生々しい事故の瞬間…「安全意識の向上を」

こうした中、福岡県内の運送会社で開かれたのがトラックの事故を防ぐためのセミナー。このセミナーの特徴は…実際に起きた事故の「生々しい瞬間」を視聴します。

(ディ・クリエイト上西一美CEO)
「今、(手に持ったスマホ画面の)10時32分に(目の)ピントを合わせているが、皆さんの顔がどこにあるかもわからない。これで運転できると思ったら大間違い」 

セミナーを行うのは、交通事故防止のコンサルティングを行っている上西一美さん。これまで3万件以上の事故のドライブレコーダーの映像を解析し、それをもとに安全意識の向上を訴えています。

身を乗り出して聞いているのは、現役のトラックドライバーの皆さんです。
 
(受講したドライバー)
「生の映像を見ると全然違う。真剣な事故の状況なので、いつもビクビクしながら運転している」

(福岡ロジテック 永山浩二社長)
「衝撃的じゃないですか。繰り返し繰り返し(事故映像を)見ることで、ドライバーの知識や意識が高くなるんじゃないかと」

この運送会社では2か月に1度、全ドライバーを対象にこうしたセミナーを開いています。

きっかけは、9年前に会社の車が起こした「事故」でした。

夜間9時間は運転禁止… 事故後に労務環境一新

(永山社長)
 「朝4時ごろに(社員の車が)右折待ちの車に突っ込んでしまった。大きな事故を起こして、色々大変な思い、嫌な思いをした。『安全最優先でやろう』という気持ちになった」

事故以降会社では、2か月に1度のセミナーに加え、ドライバーの働き方を根本から見直すことに。
  
事故当時はコスト削減のため高速道路には乗らせず、長距離でも下道で30時間かけて走っていましたが、事故のリスクを減らすため、夜8時から朝5時までの夜間9時間は運転を禁止。その分、高速道路を使うよう労務環境を一新しました。

(永山社長)
「昔は(社員が)帰ってきた時、睡眠不足で顔が真っ青だった。経費はかかるし仕事も選ばないとけないが、安全が第一」

この大きな決断で、その後の9年間、人身事故はゼロ。事故全体も9割ほど減ったといいます。
 
(ディ・クリエイト 上西CEO)
「『こんな事故は自分はしない』と、自分と違う世界として見てしまう。ドラレコの映像は、自分が普段運転しているなかでも起きそうな事故の映像を、あえて選定している。(自分の)運転に置き換えて、疑似体験として想定が増えれば、運転行動も全く変わってくる」

性能でも効率でもなく「事故が起きないこと」を何より優先することが、自動車社会に必要なのは言うまでもありません。

CBCテレビ「newsX」2026年4月21日放送より

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