
新幹線の安全守った“ドクターイエロー”が「お守り」に? “車内販売のワゴン”は京都へ・・・ 引退後の知られざる「第二の人生」に密着

今年1月、老朽化のため引退したJR東海の「ドクターイエロー」。実は引退後、驚きの変身をとげました。
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さらに、おととし10月に役目を終えた東海道新幹線の車内販売。使われていたワゴンは今、京都の飲食店に!
新幹線の運行を長年支え、引退を迎えたものたちの知られざる"第二の人生"を追いました。
新幹線の線路の歪みや電気設備を点検する検査専用車両の「ドクターイエロー」。走る時間は時刻表に載っていないため、めったに出会えないことから「見ると幸せになる」と言われています。
約24年間、新幹線の安全運行を支えてきたJR東海のドクターイエローは、ことし1月、老朽化のため引退の日を迎えました。
(ドクタイエローを見に来た人)
「ありがとう」
「最後なので、さみしいです」
その、約3か月後…。JR東海本社で行われていた会議にカメラが潜入しました。何やら手元には、たくさんのドクターイエローの写真が!
愛あふれる写真の数々 1位に選ばれた写真は…
(JR東海 事業推進本部 林大介さん)
「ドクターイエローを愛する皆さまから、500を超える写真が集まりました。意見を出し合いながら、1位の写真を決めていきたいと思います」
JR東海はドクターイエローの引退企画として、全国から思い出の写真を募集していました。
(会議の参加者)
「ドクターイエローがきれいに写っているとか、わかりやすく映っているものがいいのかなと」
ドクターイエロー愛あふれる写真の数々。500枚を超える応募の中から、1位に選ばれたのは…
(会議の参加者)
「山肌とのコントラストもすごく、くっきりしている」
引退の前の日、ドクターイエローと伊吹山を撮影した写真。窓には「ありがとう」の文字が…。撮影したのは、岐阜県在住の男性。
(コンテスト1位の写真を撮影 永墓正英さん)
「1番になったのは初めてなので、びっくりしつつうれしかった」
このプロジェクトには、真の目的が!
愛される存在として“グッズ化” 広く届けて感謝の気持ちを
(JR東海 事業推進本部 林大介さん)
「ドクターイエローに思いを抱かれていた写真を共有いただいて、それをグッズ化するというところが一番大事。ドクターイエローの破片が入った、お守りという形で商品化する」
なんと実際に運行していたドクターイエローの塗装部分を砕き、その小さなかけらを入れた「お守り」を作るというのです。
(JR東海 事業推進本部 林大介さん)
「(ドクターイエローは)ファンの方々に愛される存在として長らく運行をしてきた。広く商品をお届けすることで、感謝の気持ちを伝えることができるのではないか」
完成したのが…こちら!
アクリル板でつくられたお守りの中には、これまで新幹線の安全を守ってきたドクターイエローの塗装部分が入っています。
さらに、この黒い砂は…雨の日などにすべり止めのために、車輪に吹きかける"すべらない砂"。
塗装部分の大きさは約1センチ四方で、一つ一つ、破片の形や厚みが違います。裏側にはフォトコンテストで1位となった写真がプリントされています。
ドクターイエローは“安全・安定運行”のシンボル
(JR東海 事業推進本部 林大介さん)
「JR東海は安全・安定運行というのが礎で、ドクターイエローはその象徴、シンボル的な存在。グッズにするにあたって、いろいろな案があったが、お守りという形で皆さんに持っていただくのが一番イメージに合うのかなと」
お守りは、京都にある会社で製造。ドクターイエローの破片やすべり止めの砂を一つ一つ丁寧に手作業でお守りの中に詰めていきます。
そして…
(JR東海 事業推進本部 林大介さん)「ご祈祷をいただこうと思います」
交通事故など災いを取り除くご利益があるとされる京都の「狸谷山不動院」で交通安全、開運のパワーを授かります。
(狸谷山不動院 佐伯亮賢さん)
「ドクターイエローお守りー」
燃え盛る炎の中、お守りのご祈祷が進みます。
(狸谷山不動院 佐伯亮賢さん)
「皆さまのお守りとしてまた活躍していただければという願いを込めて、皆さまの災難をよけるということを思いながら、おはらいした」
お守りは2種類あり、一つ2000円程度を予定。来月中旬ごろから、ウェブサイトで手に入れることができます。
車内販売ワゴン車 "第二の人生"
こうした"第二の人生"を、ファンとともに歩んでいるのはドクターイエローだけではありません。
京都の和食店「亀甲屋」。こちらのお店で使われているのが…
(亀甲屋 女将 山森眞知子さん)
「新幹線の車内販売で使われていたワゴン」
おととし、約60年の歴史に幕を下ろした東海道新幹線の「ワゴン販売」。実は去年、JR東海のグループ会社が使用していたワゴンを50台限定で、抽選で販売していました。価格は1つ10万円ですが、約2400台分の応募が集まり、倍率は約50倍に。
(亀甲屋 女将 山森眞知子さん)
「倍率が高かったので、本当にドキドキして。当選したと聞いてすごく感激した。3億円の宝くじが当たったくらい喜んだ」
実は"乗り鉄"だという山森さん。車内販売でコーヒーやちょっとしたお土産などを購入するのも、楽しい旅の思い出の1つだったといいます。
(亀甲屋 女将 山森眞知子さん)
「当たった時のことを思い出してしまう。当たらないと思って…」
ファンの間で愛され、生き続ける
山森さんは、車内販売が終了する前から、ワゴンを狙っていたそうで…。
(亀甲屋 女将 山森眞知子さん)
「(新幹線の車内で)コーヒーをここで用意している時、こういう感じで横から(手で測って)。(店の通路を)通れるなって」
現在は、重い一升瓶やポットを運ぶためにワゴンを重宝しているのだそう。
(亀甲屋 女将 山森眞知子さん)
「へこんでいる。傷だらけだが、とてもかわいくて。かわいいです。使われてたっていうのが。“交通系電子マネーご利用になれます”というシールまで貼ってある。(電子マネーは)店では使えない」
「(Q:剥がそうとはならない?)置いときたい。こんなになってますけど、オタクとしてはこれをつけておきたい」
旅の楽しい思い出や、安全を支えてきた黒子たち。時代の流れで引退した後も形を変えながら、ファンの間で生き続けています。