希少金属の中国への依存が、浮き彫りとなっています。
【写真を見る】中国が「レアアース」など“輸出規制” 1年間輸入ストップなら失業者216万人 安定確保の支援策 選挙で成立に遅れも 「選挙中だから対応遅れますは“無責任”」
「レアアース」や「レアメタル」など、家電や自動車産業に欠かせない希少金属の輸出規制。世界最大の供給国が中国です。1月上旬、中国は、軍事転用の可能性がある品目について、日本への輸出を禁止すると発表。今後、そこにレアアースやレアメタルが含まれる懸念が広がっています。
(中部経済連合会・勝野哲会長 1月8日)
「製造業が集積する当地で、大きな影響を受けるリスクが高く、政府には、事態がこれ以上エスカレートしないよう、さまざまな外交ルートで丁寧な対話を重ねてほしい」
中国の発表後、中部の経済4団体も年頭会見で、レアメタル確保のために中国との関係改善を求めました。
レアメタルの一種“ビスマス” 「どうしても必要になってくる」
名古屋市港区の前田バルブ工業。作っているのは、水道用のバルブです。地下の給水管から、各家庭に水を供給する止水栓など約6000種類を作っています。
生産量は1日7000から8000個。これに使われているのが…
(前田バルブ工業 前田崇統社長)
「こちらが、バルブの原材料となる『ビスマス』が含まれた銅合金になります」
レアメタルの一種「ビスマス」。バルブの主な素材は真鍮ですが、そこにビスマスを混ぜることで、より頑丈になり精度の高い加工も可能になります。
(前田社長)
「とても重要な材料で切削性をよくするもの。これがないと固くて割れてしまうので、どうしてもビスマスは必要になってくるもの」
ビスマス製造の約8割が中国産 輸出規制ならどうなる…
ビスマスは、化学的にも安定し以前使われていた鉛のように健康被害を引き起こす心配もありません。いまや水道用バルブには不可欠な素材です。
(前田社長)
「まさか自分の家の裏側に、レアメタルが使われていると思って生活している人は、いないと思う。それがなければ、家庭に水が届かない。バルブメーカーのほとんどは、ビスマスを使った製品。ビスマスが入ってこなければ、製品が供給できないことになるので、水がストップしてしまう可能性もゼロではない」
世界のビスマスの約8割が中国産の中、もし輸出規制が行われれば、生産が滞り、水道インフラの補修ができなくなる可能性もあるといいます。
民間の試算では、中国からレアアースやレアメタルの輸入が1年間ストップした場合、日本の実質GDPは3.2%にあたる18兆円の減少、失業者も216万人に達するということです。
東海地方への影響は? 日本国内での採掘は模索中も…
(大和総研・秋元虹輝エコノミスト)
「東海地方は、自動車産業やハイテク産業などのモノ作りが盛んで、製造業に従事している人も多い。一度製造業に混乱が生じると、所得・雇用の減少による消費停滞で、非製造業など直接的な影響が小さかった業種にも、影響が波及する可能性がある」
実際、尖閣沖の漁船衝突事件が起きた2010年、中国は日本へのレアアースの輸出を事実上ストップし、製造業に大きな影響が出た前例も。その教訓から国は、他国からの調達を増やす他、国内での採掘を模索してきました。
(経済安全保障大臣 小野田紀美氏 おととい)
「水深約6000メートルという極限環境から、無事にレアアース泥が上がったことを喜ぶとともに、引き続き、精力的に研究開発と技術実証を進めてまいります。産業化のためには、レアアース泥の採取にかかる費用の大幅なコストダウンが重要であると考える」
2月、南鳥島沖水深6000メートルの海底にレアアースが確認されましたが、安定供給につながるかは未知数です。
「選挙中だから対応遅れますは“無責任”」 早期予算成立で安定供給へ
(秋元エコノミスト)
「(2010年以降も)中国への依存を完全になくすことは、できなかった。企業は代替調達先を確保することに尽きるし、政府は日中関係の打開を目指すことに尽きる」
元々新年度予算には、レアメタルなどの安定確保に向けた支援策に125億円が盛り込まれていましたが、今回の解散総選挙で、予算成立が遅れる可能性は高く心配の声が根強いのも現実です。
(前田社長)
「もしかしたら、きょうにでも中国がレアアース・レアメタルの輸出規制をするかもしれない。選挙中だから対応遅れますということは、無責任。選挙後には、早期に予算成立を実行してもらい、安定供給に向けた取り組みを期待している」


