
部活動の地域移行を支える「地域クラブバス」 週末の無料送迎で中学生の活動参加をサポート 広大な市域の移動課題や保護者の送迎負担を軽減 岐阜・高山市

岐阜県高山市では、2025年4月から休日に限り中学校の部活動が地域クラブに移行しています。こうした部活動の地域移行を円滑に実施するため始まったのが、各地域と練習場所を結ぶ週末限定の送迎バス「地域クラブバス」の運行です。より多くの生徒が地域クラブの活動に参加しやすくなる環境づくりが進められています。
「地域クラブバス」で部活動の地域移行をサポート

日本で最も面積が広い市町村である高山市は、市内に学校区が点在しているという地理的な特徴があります。
部活動の地域移行により、希望する種目を選択できるようになった一方で、練習に参加するために学校間をバスで30分以上かけて移動する生徒がいたり、保護者の送迎が必要だったりと、広大な市域だからこその課題も見えてきました。
こうした背景から、高山市は休日の部活動の地域移行を支援するため、週末に「地域クラブバス」の運行を開始。市街地から離れた地域に住む中学生も休日の地域クラブ活動に参加しやすい環境づくりを進めています。

荘川支所、上宝支所、朝日支所、丹生川支所の4か所から飛騨高山ビッグアリーナを往復する4路線で、土曜日の午前中にそれぞれ1往復運行しています。休日に地域クラブ活動や部活動に参加する地域の中学生なら誰でも無料で利用可能。バスの定員は29人で、多いときは一路線あたり15人程度が乗車しているということです。
運行開始から約2か月が経過し、保護者からは「これまでは保護者が練習会場まで送迎していたが、今はバスがあるのでありがたい」という感謝の声が寄せられる一方で、土曜日の午後や日曜日に練習を行う地域クラブに所属する生徒からは、運行時間の拡大を望む声が上がっています。
今後について市の担当者は「現在、運転業務員を募集しており、人員確保に努めています。土曜日の午後や日曜日の運行も目指す」とし、各地域クラブの代表者や指導者からの意見を集約すると共に、実際の利用状況を確認しながら、ニーズに応じた運行体制を整えていくとしています。
全国的に進められている部活動の地域移行ですが、高山市のように広大な市域を持つ地域では、生徒の移動手段の確保が大きな課題となります。今後、運行時間や路線の拡充が実現すれば、より多くの生徒が地域クラブ活動に参加しやすくなり、部活動の地域移行がさらに進展することが期待されます。