昭和で3割余り、令和では5割以上が感じているという、子育ての「孤独」。「孤育て」という表現も定着してしまったほどですが、そこに寄り添うボランティアが愛知で広がっています。
育児の悩みに参上!“抱っこ隊”

お顔がそっくりな1歳3か月の双子ちゃん。最近「あんよ」が楽しいようで、お兄ちゃんを捕まえたと思ったら、今度は弟が脱走。その隙にまたお兄ちゃんが脱走して…と“いたちごっこ”状態。お母さんは大変そうです。

すると、お母さんの代わりに子どもを追いかけてくれる女性が。家族か、もしくはプロのベビーシッターかと思いきや、実はこの日が「初対面」。お母さんをサポートする「抱っこ隊」というボランティア活動をしています。
双子の母 岡村美沙さん(36):
「一人だとどうしても大人の手が足りなくて、諦めていたことが結構あったんですけど、そういうのを一緒にしてもらえて心強いし、ちょっと心に余裕ができる」
抱っこ隊はSNSで広がっている活動で、現在33都道府県で活動中。サポートするのは子育て経験のあるお母さんたちで、愛知県だけでも300人以上が参加しています。

抱っこ隊の一人、戸高優子さんは、子ども2人が大きくなり手が離れたことから、活動に参加するようになりました。
愛知抱っこ隊 戸高優子さん(51):
「楽しいしかないですね。懐かしいし楽しいし。まだ私“ばあば”になれないけど、ばあばの練習」
ただ、ベビーシッターなどとは違い、長時間子どもを預かるわけではありません。近くに一緒にいるだけで、どれだけ助かるものなのでしょうか。
抱っこするだけでどれほど助かる?

双子兄弟と一緒にやって来たのはスーパーの食品売り場。普段お母さんは、4歳のお兄ちゃんが幼稚園に行っている間に、双子のベビーカーを押して、さらに買い物カゴを手に持った状態で、一人で買い物しているといいます。
それが、この日はベビーカーを戸高さんに任せて、お母さんは自分のペースで店内を回ります。買い物カゴに入れたのは、普段の外出では買えない5キロの新米。

さらに、ワンオペではまずできないという外食も、ゆっくり楽しむことができました。
双子の母 岡村美沙さん(36):
「いつも私のご飯なんて『ガッ!』と食べて終わりなんで、こんなゆっくりうどんを食べられるなんて。本当にありがとうございます」
愛知抱っこ隊 戸高優子さん(51):
「『この10分(子どもを)誰かに見てほしいのに』と思っていた当時の自分を、今、別の方を通してできるのが私もうれしいし、当時の自分も喜んでいる感じがする」

ただ、抱っこ隊は何かの資格を持っているわけではなく、しかも初対面。無料で利用できるとはいえ、最初は抵抗もあったといいます。
双子の母 岡村美沙さん(36):
「見ず知らずの人にいきなり子どもを見てもらって、もし何かあったときに…と考えると、最初は『抱っこどうなんだろうな?』と思うところがあった」
不安を和らげるため、最初は多くの人の目がある商業施設などで会うことが多いといいますが、信頼関係ができれば、自宅を訪ねることもあるそうです。
助けるはずが「もはや推し活」

この日、抱っこ隊が訪れたのは、生後8か月半の知恵里ちゃんの自宅。後追いが激しくなって家事がままならなくなり、抱っこしてもらっている間に済ませたいというお母さん。
普段は泣く知恵里ちゃんがくっついたまま家事をしますが、この日は集中して離乳食を作ることができました。
知恵里ちゃんの母 谷口明日佳さん(28):
「一日の後半になってくると『早く夫が帰って来ないかな』となっちゃうけど、その2~3時間だけでも他のことに私が集中できるのは、すごくすてきな時間」

実は、知恵里ちゃんの子守をしていた星野さんは、「愛知抱っこ隊」の設立者。星野さんも子どもが幼かったときは孤立感があったといいます。
愛知抱っこ隊 設立者 星野紋子さん(50):
「子育て支援センターに行ったところで、そのときだけはいいけど、帰って来たら家はぐちゃぐちゃ。家を整えたいし、家でホッとしたい。子育て時代に自宅に来てもらえる人がいたら、めちゃくちゃもっと(心に)余裕があったのかなって」
子育てが一区切りついたときに知ったのが、他の県ですでに活動していた「抱っこ隊」。今も昔と変わらず、お母さんが孤立してしまう「孤育て」の環境をなんとかしたいという思いから始めました。
愛知抱っこ隊 設立者 星野紋子さん(50):
「最初は、困っているママがちょっとでも楽になったらいいかなという感じで始めたんですけど、逆に私が幸せをもらっている感じになっているので、すごく癒やされています。生きがい。推し活みたいな感じ」

愛知抱っこ隊の場合、ボランティアする側は子育て経験のあるお母さんが登録。子育てに関わる資格などは条件にはありません。一方、助けてもらう側は、お父さんでもお母さんでも利用可能。SNSを通じて申し込み、場所や時間の都合に合わせマッチングします。
長時間の預かりはしませんが、ベビーシッターなどの有料支援を頼むほどではないけど少しだけ誰かの手を借りたい、というときの新たな選択肢になっています。
抱っこしてくれて助かる。抱っこできてうれしい。お母さんの心にゆとりが生まれて笑顔が増えることが、子どもの笑顔にもつながっているようです。
【中京テレビ「キャッチ!」すこやかWEEK 10月19日放送】


