「スマホ利用は1日2時間以内」 愛知・豊明市の全国初の条例案に賛否の声 市長はなぜ発案?

愛知県豊明市が、すべての市民にスマートフォンの利用時間を「2時間以内を目安」とする条例案を提出し、賛否の声が上がっています。発案した市長に聞いた、その根拠とは?
名古屋で、スマホの使い方について聞きました。
「たぶん1日10時間以上は触っていると思います。起きてからずっと触っていますね。動画が9割で、あとは調べもの。あとは予定の確認とか」(60代男性)
小学3年生の男の子は、スマホでカードゲームをすることにハマっているそう。
「だいたい30分くらい。区切りをつけるために、『1回勝負だけね』とか決めている。見ちゃうとずっと見てしまうので、目のためと姿勢もすごく悪くなってしまう」(30代の母親)
子どものことを考え、しっかりとスマホの使用時間を管理。
ちなみに、お母さんは?
「私はスキマ時間にずっと見てしまいます。TikTokやYouTubeを見たり、料理の合間ならレシピ動画を見たりしている」
Q.お母さんはどのくらいスマホを見ている?
「いっつも。ちょっと見るのやめてほしい」(息子)
「スマホ1日2時間」条例案とは

そんなスマホの使い方について、今、話題となっている自治体が――。
25日から始まった豊明市の9月議会で、市民のスマホの利用時間に関する条例案が注目されています。
「仕事や勉強を除いて、スマホなどを見るのは1日2時間を目安に」。
25日午後に提出された条例案の中身です。
子どもから大人まで、すべての市民を対象とした全国初の条例案です。
発案した市長に、条例の目的を聞いてみると――。
「不登校になっている子どもたちの状況を調べる中で、スマートフォンをずっと手にしているがために、さらにそこからなかなか抜け出せない。大人も含めてスマートフォンを使い過ぎているがために、自分の大事な人とのコミュニケーション、食事、睡眠時間を犠牲にしている場合があるのではないか」(豊明市 小浮正典 市長)
“1日2時間”の根拠は?

条例案には、仕事や勉強、生活で必要な時以外のスマホなどの使用を1日2時間以内とする目安が示されているほか、睡眠時間を確保するため、小学生以下は午後9時、中学生以上は午後10時以降を目安として使用を控えるよう促します。
では、なぜ目安が“1日2時間以内”なのでしょうか。
「本当に家の中で自由にできる時間を対象に、2時間以内を目安に考え直してください」(小浮市長)
条例に、強制力や罰則は設けていません。
さらに「2時間」という時間設定について、市長は。
「2時間にこだわっているわけではない。その人その人によって生活のパターンは違うものですから、私はそういったことをきちんとやれて4時間5時間余っているという方は、4時間5時間スマホをやって全然構わないと思っている」(小浮市長)
豊明市民からは賛否の声

当の豊明市民からは、賛否の声が上がります。
「私は賛成だと思う。夫や娘もずっと(スマホを)見ている。そうなると会話がなくなっちゃうので」(40代女性)
「うーん、そこまでする必要があるのかなっていう感じ。個人的には各家庭、個々にお任せで良いような気もします」(50代男性)
市には100件以上の意見、多くが批判

また条例案の発表後、市には100件以上の意見が寄せられていて、その多くが批判的な内容だということです。
Q.共感は得られている?
「市民に限れば、私が接している中では賛成している人が非常に多いと感じている。市民の反応と市外の反応はだいぶ違う」(小浮市長)
Q.市長のスマホの使用時間は?
「1日大体、仕事上3時間ぐらいは必ず使います。余暇時間は30分から1時間、毎日使っていると分かった。ほとんどはプロ野球のチェック、プロ野球の試合後の動画」(小浮市長)
専門家「市民への丁寧な説明を」

地方自治の専門家は、市民への丁寧な説明が重要だと指摘します。
「説明責任という観点からすると、説明が少し不足している部分がある。条例を作ることはインパクトのあること。なぜこの条例が必要だったか、目的や2時間の根拠も含め、より丁寧な説明が求められる」(愛知大学 法学部 加藤洋平 准教授)
豊明市議会では提案理由の説明が行われました。
「(スマホ等の)過剰使用が引き起こしかねない身体面・精神面および生活面への悪影響に関する対策を、総合的に推進するため制定する」(豊明市 浅井俊一 教育部長)
今後も議論を巻き起こしそうな豊明市の“スマホ条例案”。
採決は9月22日に行われる予定で、可決されれば10月1日から施行されます。