アクセサリー会社の社長は中学3年生 痛くないイヤリングで特許 “アイデアを形にする”挑戦

小学生でオリジナルのアクセサリーを開発し、会社を立ち上げた女子中学生。「アイデアを形にする」を実現した彼女の挑戦を取材しました。
「受験勉強をほったらかして会社活動を行っております。株式会社マイヤリングスの代表取締役社長を今年4月からしております」
大勢の大人を前に堂々と話すのは、名古屋市に住む中学3年生の水野舞さん(15)。
彼女の肩書きは、アクセサリー会社の代表取締役社長です。
6月、名古屋で開かれた伝統的な刺しゅうの展示会には、舞さんのアクセサリーも販売されていました。
「ハンドメイド作家とコラボレーションするということで、今回のイベントに参加しました。ヘアピンに穴を開けて、穴から装飾具を通して髪の毛にパチンとつけると、ピアスやイヤリングのように見せることができるアクセサリーを製作しています」(水野さん)
その名も「マイヤリング」。
舞さんの名前と、「私にとってのイヤリング」という意味をかけ合わせました。
小学2年生の頃、母親とおそろいのピアスをつけたいと思ったのがきっかけでした。
「マイヤリングはそもそも私が小さいときにつけたいなと思って、ピアスとイヤリングの代わりになるものを作りたいなと思って作ったものでした」(水野さん)
耳に挟んだり、穴を開けたりするのは痛くて嫌…。
そこで、髪を挟むヘアピンを使うことで誰でも簡単につけられるように工夫しました。
その後、父の勧めで小学4年生の時に「マイヤリング」で特許を出願。小学5年生で特許を取得しました。
小学6年生で「株式会社マイヤリングス」を立ち上げ、15歳の誕生日を迎えた今年4月から代表取締役社長を務めています。
マイヤリングは、公式ネットショップで販売していて、サッカーの名古屋グランパスなど、さまざまな企業とのコラボ商品も製作しています。
会社と学業の両立は

すでに堂々と社会を渡り歩く舞さんも、まだ15歳。普通の中学生です。
仕事に忙しい舞さんが通うのは、N高グループの「N中等部」。通学日数などを選ぶことができる通信制の学校です。
「学業と会社との両立にすごく苦戦していた時期があって、平日のほうが動きやすいことがあるので、それをできるようにしたいと思って」(水野さん)
舞さんと机を囲むクラスメイトは…。
「仕事でプレゼンなどをやっているので、そういう経験が多いっていうのはすごいなと思っている、毎回。大してほかの子と変わらない。社長か社長じゃないかというだけで、普段の生活自体そんなに変わらないし、みんなと同じなのでは」(クラスメート)
探求学習を中心に、自分のやりたいことを自分のペースで学ぶことができる、N中等部。
「自分のスケジュールによって、登校できる日を変えることができるので、自身でこのペースがいいと思って選んでいるので、たぶん彼女にとっては今のペースが一番いいんだと思います」(N中等部 名古屋栄キャンパス長 三谷未貴さん)
若い起業家として講演会にも

6月、若い起業家の1人として教育関係者が集まる講演会に呼ばれました。
伝えたのは、マイヤリングを通して感じた、いま求められる教育。
「『i育』という言葉は、『アイデアを形にする教育』。課題を見つけて、私の場合はマイヤリングという解決案を出す、そして形にする。特許や会社などが形になると思うけれど、それを世界に届けていく、これを繰り返しできるといいなと。子どもたちのアイデアを大人が拾い上げて世界に届けていくというのを形として作りたい」(水野さん)
『i育』とは、舞さんが父親と考えた新しい教育の概念です。
「子どもたちが自分を超えてもっと活躍するというのは、教師としてすごくうれしいこと。そういう子たちが増えてほしいなと思う」(小学校教員)
「実際に子どもの時に起業して、こんなふうに私やってきたんだよっていうところを、苦労したところも含めて話してくれることで、子どもたちも『自分でもできるかもしれない』という気持ちになれる」(塾関係者)
「今こうして、いろんな方に自分の話を聞いてもらえるのもすごくうれしい。聞いていただけるうちに、いろんな方に自分の経験を伝えることはやりたい。その一つとして、アイデアを形にする教育『i育』をもっと多くの方に提供できるようにしたい」(水野さん)