津波警報で大勢の観光客が足止め 宿が連携しマイクロバスで送り届ける 三重

30日の津波警報は、夏休み中ということで、鳥羽駅では、電車がストップして大勢の観光客が足止めされ、混乱が生じる事態になりました。そんな状況を救ったのは、地元の宿でした。
30日は津波警報の影響で、交通機関にも乱れが。
JR参宮線の伊勢市駅から鳥羽駅や、近鉄鳥羽線と志摩線の五十鈴川駅から賢島駅の上下線で運転を見合わせました。
この影響で、多くの観光客が鳥羽駅で足止めとなり、夏休みシーズン真っ只中の観光地・鳥羽では混乱が――
「鳥羽駅から五十鈴川駅に行けないお客様が、タクシー乗り場にあふれていたというのと、改札のところに人が滞留する状況でした」(鳥羽旅館組合 迫間優子 理事長)
状況を話してくれたのは伊勢湾を望む宿「扇芳閣」の社長と鳥羽旅館組合の理事長です。
「暑さもあって、みなさんぐったりしていた」(迫間理事長)
鳥羽駅構内に観光案内所がある鳥羽市観光協会から状況の連絡を受けた谷口社長は、迫間理事長と連携を取り、すぐに対策に動きました。
「鳥羽駅に着くと、駅前に50人ぐらいのタクシー列ができていて、一人ひとりに声かけしながら伊勢方面であれば『五十鈴川まで行きますか』と聞き、行く人は順番にバスに案内した」(扇芳閣 谷口優太 社長)
「地域の観光施設の底力が試される」

谷口社長たちは、5つの宿で協力し、観光客をマイクロバスに乗せて、列車が動いていた五十鈴川駅までの片道約13kmを10往復以上したといいます。
「子連れの人が憔悴しきっている状況だった。その時にお母さんが涙ながらに『助けてもらって本当に良かった』というのが印象に残っています。アラートも鳴り響いている状態だった。鳥羽市の防災放送も流れている、肉体的よりも精神的に大変な人が多かったと思います。喜ぶ人がいた、そういう一面が見られたので、やってよかったと思いました」(谷口社長)
200人以上の観光客を無事送り届けることができました。
「予想できない事態のときこそ地域の観光施設の底力が試されると思いました」(谷口社長)
「伊勢や志摩と連携して、広域で協力しなければならないという、課題も見えてきたので、対応を進めていきたいと思っています」(迫間理事長)