農業の担い手確保は全国的な課題ですが、今、農家の経営を安定させるため、農地の上に太陽光発電施設をつくり、発電でも稼ぐという取り組みが広がっています。次世代の農業を模索する最先端の動きを取材しました。
水田の上に4000枚の太陽光パネル!「営農型太陽光発電」の挑戦

宮城県の米どころとして知られる美里町。広大な水田の中に、太陽光パネルが設置されています。その数およそ4,000枚。この春に設置されたものです。

そして、その下には青々と茂る、稲。パネルで日陰になる部分もありますが、稲の成長は大丈夫なのでしょうか?

舞台ファーム 針生信夫社長:
「お米を作りながら、上で電気も作っているということになります。どちらかを犠牲にしているとなると長続きしませんが、両方とも最大の数字が取り出せるように設計されています」
発電した電気で「レタス工場」を運用!電気代を大幅削減

太陽の当たる量は3割近く減りますが、ここでは10年ほど研究を重ねた結果、収穫量に大きな影響はないとしています。

これは営農型太陽光発電。農業をしながら発電事業でも稼ぎ、農家の経営を安定させる取り組みです。

ここでは収穫量が多い新しい品種の米を採用。さらに、機械で効率よく作業できるよう、柱の間隔などを独自に設計しました。

舞台ファーム 針生社長:
「柱の間が空いておりますから、『株数が少ないんじゃないか』と心配されるんです。ところが、お米は風が通れば通るほど株数がどんどん増え、一番収穫量が増量するのです」

そして、発電した電気を使ってすぐ隣で次世代の農業にチャレンジ。舞台ファームが運営する最新鋭のレタス工場です。年中無休でレタスを作り、1日最大5万株を首都圏や関西などに出荷しています。針生社長に、およそ1,000坪ある出荷場へ案内されました。

舞台ファーム 針生社長:
「出荷場全体が冷蔵庫ということになるので、発電して、無料で使えるということになり、大変なコストダウンができています」

工程の90%が自動化された、このハイテク工場。温度管理に加え、天候不良の際に成長を促す特殊なLEDも使うなど、年間の電気代はこれまでおよそ1億円かかっていました。

しかし、今回始めた太陽光発電によって、そのうち最大8割ほどを自給できる設計だといいます。
農地が再エネの受け皿に 米づくりと発電の「二刀流」がもたらす未来

日本経済新聞社 仙台支局 澤隼記者:
「自然環境との調和などで、近年は大規模な太陽光発電施設の建設が難しくなっています。水田の多くは平地にあり、送電網への接続など条件が良いことから、農地が再生可能エネルギーの受け皿として注目されています」

営農型太陽光発電の件数は6,000件以上に増加。ただこれまでは、夏の直射日光が苦手なサカキやブルーベリーなどの植物を育てるものが主流でした。

今回、舞台ファームは水田での営農型太陽光発電に日本最大級の規模で挑戦。主要な作物である米の生産と両立させ、そのノウハウを全国に広めたいと考えています。

舞台ファーム 針生社長:
「一定の規模の農家の皆さんが真剣に一緒にみんなで連動して『国民の食糧を作っていく』という思いがあれば、その電気とか再生可能な部分はお互い争う競争じゃなくて、共に作っていきましょう、コストを下げましょう、と。国民の食糧を安定的に供給したいなと思っています」


