
「足も速く100mは9秒くらい」全国で相次ぐクマによる被害 外国人観光客が襲われた岐阜も“エサ不足”か


クマによる被害が全国で相次いでいます。東海3県では住宅地や観光地でも目撃情報が相次ぎ、ケガ人も出ています。背景には何があるのでしょうか?
■飛騨路に秋の訪れ…クマへの警戒も
10月9日に始まった「秋の高山祭」。絢爛豪華な屋台がずらりと並び、精巧なからくりが披露されると、大きな歓声があがりました。

多くの人々にぎわう一方で、観光客から「クマ」を気にする声が聞かれました。 兵庫から: 「やっぱり食料ないんやろうね、町まで下りてくるのは」 イスラエルから: 「怖がらないようにすることかな。森などに行った時に暗かったから、クマを怖がらせるために大きな声で話した」 JR高山駅から西に800メートルほど離れた住宅街では、8日午前6時半過ぎ、クマの目撃情報がありました。

現場は通学路になっていて、警察が登下校の時間にあわせ警戒を続けています。 秋田県では8日、住宅街を散歩していた女性にクマが突然襲いかかりました。女性が叫び声をあげるとクマは逃走しましたが、女性は顔をひっかかれるケガをしました。

富山市内でも8日、田んぼのなかを走るクマの姿が確認されました。 住民: 「お墓の辺りから向こうへ逃げていったのではないかと。すごく怖かったですね」
■岐阜でクマ目撃相次ぐ…背景の一つに「どんぐり不足」
東海地方でもクマの目撃情報が相次いでいます。世界遺産「白川郷」で知られる岐阜県白川村では5日、観光に訪れていたスペイン人男性がクマに襲われ、ケガをしました。

飛騨市でもクマの目撃が相次いでいることから8日、住民向けの研修会を開き、クマに遭遇した際の注意点など説明しました。 総合獣害対策LIEPの原田大輔さん: 「足もすごく速くて100m9秒ぐらい、ウサイン・ボルトと同じぐらいと言われております」 住民ら: 「(車で)走行中に突然クマが現れて、車に乗っていたので大丈夫でしたけども」 「目の前で見たのは何回もあります」 目撃情報が相次ぐ原因の1つとされるのが「エサ不足」です。 岐阜県は10月、クマのエサとなるドングリが2025年は少ないと発表しました。ブナは飛騨南部で「大凶作」、飛騨北部で「凶作」、ミズナラはいずれも「凶作」となっています。

酪農学園大学の佐藤喜和教授: 「この時季、主要なエサとなるドングリ類などの木の実が、不作から凶作という地域が多くなっておりますので、エサを求めて街の中にも入ってきている。ツキノワグマの場合は、あと1カ月から1カ月半ぐらいはクマが出てくるかもしれないと警戒していただければと思います」

東海3県では、特に岐阜県でクマの目撃情報が多く寄せられています。2025年度のクマの目撃情報は、高山市で254件、飛騨市で約50件、白川村では例年の3倍近い、90件以上の目撃情報が寄せられています。