三重県桑名市の特産品・ハマグリが密漁者に狙われています。
毎年、潮干狩り感覚でハマグリを採る密漁者が後を絶ちません。
密漁の実態に、カメラが迫りました。

5月23日、三重県桑名市にある赤須賀漁港で開かれた祭りに長蛇の列が。
客が買い求めていたのは、桑名名産のハマグリ。
「ジューシーでおいしいです」
「柔らかいのでほかのハマグリとは全然違う」
地元の漁師が稚貝から育てて放流し、成長するまでに3年から5年かかります。
そんなハマグリの旬は、まさにこの時期。
「大とか特大とか安定して獲れている。1個100gでだいたい800円」(貝増商店 代表取締役 服部高明さん)
そんな高級ハマグリが生息する漁場と貴重な水産資源を守るため、三重県によって共同漁業権が定められています。
ところが、この漁場で大切に育てたハマグリが、密漁者のターゲットになっています。
ハマグリ密漁者に直撃

5月31日。潮が引いた干潟にやってきて貝をとる人に直撃しました。
Q.いま何をしていた?
「潮干狩り」
Q.許可の旗を持ってないとダメなんじゃないですか?
「そうかなぁ」
本来、この干潟では許可された人しか貝類をとることができず、漁協から旗を購入しなければいけません。
「(旗を)買っとるって言いたい気持ちやけど、相手がどんな人かわからんで、こんな年寄りはよう言わんもん」(許可を持っている女性)
貝類を許可なくとる行為は、漁業権の侵害。悪質な場合は100万円以下の罰金が科せられることもあります。
Q.許可の旗を持っていないとダメですよね?
「そうかなぁ」
Q.旗を持っている人にインタビューしているんですが…
「旗持っとらへん。顔映すなよ、お前」
それを知ってか知らずか、やってくる人たち。
漁場に入る手前には「貝取り禁止」と書かれたのぼりが立てられています。
Q.「貝取り禁止」の旗がありませんでした?
「わし関係ないで向こう行ったって。大きいもの取っている人に聞いて」
Q.だいぶ大きいですけど
「こんなの小さい」
Q.小さいのもこれから大きくなるのでよくないですが
「小さい言ったって3センチ以上あるもん」
密漁に頭を抱える漁師たち

地元の漁師たちは、この現状に頭を抱えています。
「密漁する人は『自然にあるもんや』という感覚ですけど、それは資源を大切に守っていての結果ですから」(地元の漁師)
ハマグリの漁獲量を増やすため、約30年前に稚貝を育てる生産施設を作った漁師たち。
育った稚貝は毎年、地元の子どもたちと一緒に海へ放流しています。
さらに赤須賀漁協では、漁は週に3日、1隻あたり1日30kgまでと漁業規制をしています。
しかし、ハマグリを奪う者は後を絶ちません。
漁師・海保・警察が合同パトロール

密漁者からハマグリを守ろうと、地元の漁師たちが立ち上がりました。
5月30日、三重県警や海上保安庁と合同でパトロールをしました。
密漁者に対して直接警告。
漁師歴14年の水谷圭吾さんが、率先してパトロールに出ます。
「漁師は漁獲制限して我慢してハマグリをとっている。それを密漁されたらみんな怒る」(水谷さん)
許可なく貝を採る人を見つけると…。
「ハマグリとったらいかんで、ここ」
「とってない、とってない」
「とっていない」と言い張る2人組ですが、ネットの中を確かめると、やはりハマグリが。
海に返すよう指示し、厳重注意。
さらに…。
「あの緑色の服の人、絶対ハマグリが入った袋を引きずっとる」
「何しとんの?許可ある?」
「許可ない」
「ここはアウト。全然あかん」
「この前来た時…」
「誰に聞いたん、そんなこと。警察とかもおるで、ハマグリを海にまいて帰って」
「わかりました」
やっとのことでハマグリを海に返した男性。
しかし、これは単なる序章に過ぎませんでした。
外国人による密漁も

いま問題視されているのが、外国人による密漁です。
カンボジアから来たという男性を直撃しました。
Q.いま何をしていた?
「わたしわからない。これ貝じゃない?これほしい?」
罪の意識はないようです。さらに…
Q.どこから来たんですか?
「ベトナムから」
なぜここに貝を取りに来たのか聞いてみると…。
「日本の人を見て、とれると思ったから」
しかし漁場に入る手前には、ベトナム語で「貝取り禁止」と指示したのぼりが。
これ以上の横行は許さないと、地元の漁師が立ち上がりました。
「ここで貝とったらダメや。どこ?ベトナム?とったらいかんで。置いていって」
問題は外国人だけではありません。
パトロールに気づき、沖に逃げていく密漁者たちがいました。
注意した男性の態度が急変

いたちごっこの密漁を解決すべく、導入されたのがドローン。
上空から、スピーカーで沖にいる密漁者に警告します。
「こちらの海岸は漁業法に基づき共同漁業権が設定されております。アサリ・ハマグリ・シジミなど不法採取は犯罪です」
音声に気づいたのか、多くの人が貝を海に戻して引きあげていきます。
しかし、それでも引きあげない密漁者が。
「何をとってるの?」
「貝」
「ここは貝とったらあかん」
「海上保安庁と話したらそうじゃなかった」
「じゃあ今から行って話してもらったらええで。すぐに電話で呼べるもんで、今から来てもらう」
パトロールに加わっていた海上保安庁にすぐ来てもらうことに。
ところが男性から目を離したすきに…。
「逃げていくやん。おじさん待っといてよ!」
いつの間にやら、男性がその場から遠ざかっていました。
「海上保安庁呼んだで待ってよ。おじさんが話したいというので呼んだのに、なんで話さないの」
この言葉に、男性の態度が急変しました。
「だから行っとるやないか今!何を御託並べとるんだ!海上保安庁のところに向かっとるやないか」
「帰ろうとしとったやん」
やっとのことで、海上保安庁と合流。
「ここは漁業権に入っていますから、ここではやらないように」(海上保安庁)
厳重注意をして、この場はなんとか収まりました。
漁師たちは、これからもハマグリを未来に残すため、必死に守り続けます。
「今からの時期はまだまだ人が来る。1人1kgでも、人数がおればハマグリはすぐなくなっていくもんで、誰も来なくなってほしい」(漁師の水谷さん)


