
中古マンション なぜ名古屋は高騰しない?東京は“億ション” 大阪は5000万円超の一方で… 専門家「知名度不足」「戸建て意識が強い」

東京の中古マンションの相場が高騰しています。23区で9月も平均価格が1億円超えとなり、これで5か月連続。まさに中古物件が“億ション”となる傾向に。
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建築資材費や人件費高騰で新築マンションの価格が上昇し、それが中古にも波及しているということですが…名古屋はどうなのでしょう。
東名阪の価格を2021年から見てみます。東京カンテイの資料によりますと、70平米の中古マンションが、東京はことし7月時点で平均1億円を超えています。大阪が約5200万円で、名古屋はほぼ横ばいの2900万円ほどになっています。
なぜここまで高騰?専門家に聞く
大阪、さらに東京がすごい伸び率で右肩上がりです。東京カンテイ市場調査部・上席主任研究員の髙橋雅之さんに聞きました。
理由は主に3つあります。まず①人手不足による新築マンション高騰に連動ということで、新築が高くなれば、それに中古も引っ張られる傾向にあるんですね。次に②株高です。これは簡単に言うと、株で一儲けできるような一部のお金持ちの購買意欲の高まりということで、住み替えるというよりも、ほぼ投機目的で中古マンションに“買い”が集中している。さらに③円安です。外国人が「日本は安い」と、海外からの投資マネーの流入もあります。
髙橋さんによると「売り手市場で強気の価格設定が続くんじゃないか。今後も東京・大阪が下がることはまずないだろう。高止まりか、上昇傾向が続く見込みである」ということなんですね。
東京・大阪の今後は… “高市政権の政策次第”
では、どういう状況になれば、価格が下がるのか。髙橋さんは…ズバリ「高市政権の政策次第」と、少し大きな話になってきます。
まず「金利を上げる」。そうすると、ローンで買おうという人は利子が高くなります。高くなると意欲が下がるため、価格が下がる圧力になります。
そして「円高になる」。今は円安で海外マネーが流入しているためです。
さらには「外国人のマンションの転売や投機を抑制する政策、税金のルールなどを導入」。これによって、海外の投資マネーが少なくなり、マンション価格が下がる可能性もあるという分析です。
名古屋の中古マンション価格は横ばい…なぜ?
東京と大阪の中古マンション価格は上がっていますが、名古屋はあまり上がっていません。これはなぜなのか。
髙橋さんによると、東京・大阪に比べて名古屋は、あまり知名度がないということで、海外からの投資マネーが現状少ないと。
そして、地域性です。マンションより戸建ての意識が強いということで、マンション同士で価格を争うというよりも、その価格の競争相手が戸建ても含まれていて、同じ金額だったら「ちょっと郊外で戸建て」という人が結構多いので、マンションがそんなに爆上がりはしないということなんです。
さらに、中心部に仕事と住む場所を求める需要が、名古屋は少ないと。これは、例えば、東京や大阪は郊外から都心部に一気に仕事で人が集まるので、だったらもうそこで住みたい、という傾向があり、中心部にタワーマンションや住む場所があります。
しかし、名古屋の場合は名古屋に住んでいるけれども、勤務先は車で少し郊外という人も実際多いので、ど真ん中にそんなにマンションは必要ないと。
名古屋が“価格高騰”になるとしたら…要因は?
確かに名古屋も、タワーマンションは建っているんですが、東京大阪に比べると、そこまで需要は多くないそう。
髙橋さんによると、名古屋は今後も東京大阪のようになりそうにはない、という見立てで、もし価格高騰に転じるとしたら…リニア中央新幹線の工事の進捗次第で、ひょっとしたら名古屋の中古マンションの価格が変動するかもしれない。そして、インバウンド、外国人観光客を呼び込むような商業地開発が進むと、名古屋も"It's cool"だと、とってもいい町じゃないかと、投資マネーが流入するかもしれないということです。
中古マンション価格、実は政治政策やまち作りと関わってくるようです。





