相次ぐ教師の懲戒処分…現役教師が語る“現場の今” 「盗撮」「わいせつ」から子どもを守るには?

今年、愛知県では小中学校の教師の懲戒処分が相次ぎ、過去5年と比べて最悪のペースです。教育現場の現状は?盗撮やわいせつから子どもを守るには?
盗撮した児童の画像を教師たちでつくるSNSグループで共有。このグループをつくったとされるのが名古屋の小学校教師、森山勇二被告(42)で、28日、名古屋地裁で初公判を迎えます。
学校への信頼を揺るがせたのは森山被告だけではありません。
「誠に申し訳ございません」
頭を下げる教育委員会の職員。今年、愛知県では小中学校の教師の懲戒処分が相次ぎ、過去5年と比べて最悪のペースです。
過去5年の4月から9月の懲戒処分の数です。
2020年はなし、21年が1件、22年が5件、23年が7件、24年が4件。今年は9月末までで14件。
去年の同じ時期と比較して3倍を超えています。
14件の内訳は「盗撮」と「わいせつ」があわせて6件で、勤務先の学校の児童や生徒、卒業生などが被害者でした。
そして10月も――。
「誠に申し訳ありませんでした」
名古屋の教師が盗撮事件で懲戒免職に。「先生」への信頼は今――。
愛知の小学校教師が語る”現場の今”

「一部の先生がいろんなことを、あの事件、いろんな事件があったので、本当に悲しいですね」(愛知県内の小学校教師)
愛知県内の公立小学校教師が”現場の今”を打ち明けました。
Q.保護者から向けられる目に厳しさは感じますか?
「感じますね。直接に言葉で、ということは本校ではなかったですけれども、やっぱりそういう目で見るのは、当然だと思います。これだけ現場が混乱して、迷惑がかかっているということを、本当にその人たち(事件や事案に関わった教師)に伝わっているのかなと思う。怒りしかないですね。特に男性教員が『みんなそうなんじゃないの』みたいな目で見られてしまう。本当にもう怒りですね」(愛知県内の小学校教師)
子どもたちへの接し方も変わりました。
「今までも自分から『触ったり』『スキンシップ』に気をつけていたので、そこは変わらないですが、今こんなふうになってしまうと、子どもたちからスキンシップに来られても『ごめんね』と言うしかない。(子どもの気持ちに応えられなくて)残念だなと思いますね」(愛知県内の小学校教師)
相次ぐ懲戒処分に愛知県教委は――

相次ぐ懲戒処分。愛知県教委はどう捉えているのでしょうか――。
「学校が『安心・安全な場所でない』というような状況になっていることについて、
子どもや保護者を心配させていることに大変申し訳ないと思っております」(愛知県教育委員会 教職員課 吉川直希 担当課長)
懲戒処分の多さについては――
「昨年度末に起こった案件で処分できずに持ち越したものが9件ありますので、今年度上半期に激増しているという事実は、自分たちの認識としてはないのですが、愛知県内でも盗撮・わいせつの案件があり、それについて大変危機感を持っています」(吉川担当課長)
Q.過去5年と比べると増えているのが現状。その理由はどのように考えている?
「盗撮・わいせつに関しては、すべて“入り口”がスマートフォン。社会の中でスマホが広く普及しているのですが、学校現場がそういう社会の変化に十分に対応ができていなくて、心配な案件が多く起きていると分析しています」(吉川担当課長)
「新たな対策として夏休み以降、夏休みの間に学校の先生を対象に多くの研修があるので、その場に愛知県教委の職員が行って、訴えかけるという活動を続けている」(吉川担当課長)
現場と保護者ができること

教育社会学の研究者は――
「なによりも学校の中で教員が(不祥事を)起こしているというのは改めて大事なこと。わいせつ事案は“見えないところ”で行われるということがわいせつ事案の特徴。
それが盗撮となれば本当に見えにくいこと。だからこそ“社会的なアンテナ”を高めながら、それを見つけていくことが必要。
これまで何となく見過ごしてきたことや、やや対応が甘かったところを『これは問題視しなくてはいけない』と学校でも意識が高まっている状況。
そういう中で『自分が被害にあったかもしれない』という人や『被害にあった』という人が、言いやすくなる。さまざまな方面から事案を見えやすくする」(名古屋大学大学院 教育社会学 内田良 教授)
保護者はどうすれば――
「本当に保護者も大変だと思うが、今こそ、このタイミングを逃さずに、声を上げ続けること。学校に不安があれば、しっかりと伝えるという形で、わいせつ事案に対するハードル、防止策を強化していくことが必要」(内田教授)





