みなさんは毎月、なんとなく保険料を支払っていませんか?
名古屋証券取引所とテレビ愛知が共同で運営するYouTubeチャンネル「あしたのマネー」に、保険のプロである鳥海翔さん(株式会社Challenger代表取締役)が出演、医療保険や生命保険の本当の必要性について、数字と確率を使って解説しました。
生命保険(死亡保険)が必要なのはどんな人?

まず、鳥海さんは岡田アナと、SKE48の松本慈子さんに「もし明日死んでしまったら、誰が困りますか?」と問いかけました。
岡田アナは「夫は仕事をしているので、私の収入で食べているわけではない」、一人暮らしの松本さんも「特に困る人はいない」と答えました。
鳥海さんは「困る人がいないのに生命保険に入っていてもしょうがない」と指摘します。逆に、結婚して子どもができた場合は、子どもの教育費などに1,000万円から2,000万円ほどかかることが多いため、生命保険の必要性が高くなります。
がんにかかったときの費用は「実は100万円くらい」

次に、がんにかかったときの治療費についてです。岡田アナと松本さんは「1,000万円はいかないと思うけれど、数百万円はかかるかな」と予想しましたが、鳥海さんは「実は100万円くらいです」と明かしました。
日本には「高額療養費制度」という健康保険の仕組みがあります。病院の窓口では多くの人が3割負担ですが、一般的な収入の人の場合、1ヶ月にかかる治療費の上限は最高でも約8万円と決まっています。
例えば、100万円の手術を受けて窓口で30万円を支払っても、健康保険に申請すれば22万円が戻ってくるため、実質の負担は8万円ほどで済みます。毎月手術を受けるわけではないため、通院費などを合わせても、手元に100万円ほどのお金があれば、よほどの治療は受けることができるのです。
医療保険の計算:30年で108万円払って元は取れる?

では、一般的な入院の医療保険(月々の保険料3,000円、入院1日につき1万円が受け取れるもの)はどうでしょうか。
30年間、保険料を払い続けると、支払う合計金額は108万円になります。入院1日につき1万円がもらえる仕組みなので、元を取るためには30年間のうちに「108日間」も入院しなければいけません。
今の医学ではだいたいみんな初期で見つかることを考えると、実際、一般的な入院日数は2週間(14日)から、長くても28日ほどです。生涯で仮に2週間の入院を5回したとしても合計70日です。つまり、108万円を払って、受け取るのは70万円。
鳥海さんは「これを資産運用に例えると、30年間毎月3,000円を投資して、蓋を開けたら元本割れしているようなもの」と説明し、松本さんも「それはショックですよね」と驚いていました。
保険が持つ「2つの役割」

鳥海さんによると、保険には次の2つの役割があります。
1.巨額の損失に備えるもの(例:生命保険) 確率は低いが、もし起きたら人生が破綻してしまうような大きなお金に備えるもの。これは「掛け捨て」の保険を利用して、安い保険料で大きな保障を準備するのが基本。守るべき子どもなどがいない場合は教育費などの心配もないので、入る意味が少ない。
2. 費用の平準化(例:医療保険、がん保険) 医療保険やがん保険は、支払う金額と受け取れる金額を比べると、損をすることの方が多い。しかし、「毎月1,500円」などと決まったお金をコツコツ支払っておくことで、病気になったときに数十万円というまとまった出費が急に出るのを防ぎ、財布の負担を平準化するという意味がある。
20代はどうすればいい?ベストな選択肢

松本さんから「20代でそこまで保険は必要なく、今はNISAをやりつつ、年齢を考えて保険に入るのがベストですか?」という質問がありました。
鳥海さんは「そうです」と答え、次のようにアドバイスをまとめました。
特に持病や心配な病気がなければ、まずはNISA(資産運用)でお金を貯めておくのがおすすめです。何もなければそのお金はそのまま貯まりますし、何かあったときはその貯金から治療費を支払えばいいからです。
もし心配なら、若いときは「10年間だけ」など期間を決めて掛け捨ての医療保険に入っておき、その10年間のうちにNISAなどを活用して、頑張って1,000万円ほどの貯金を作ります。お金さえ貯まってしまえば、がんになっても「貯金から払えばいい」となるため、一生高い保険料を払い続ける必要がなくなります。
結論:感情で判断するとミスをする

岡田アナの「年を重ねると病気になる確率も上がるし、保険料も上がる。そう考えると若いうちに入っておいた方がいいのかなと悩んでしまう」との言葉に、鳥海さんは「そこが難しいところです。感情で判断するとだいたいミスをします」と話しました。論理的に考えれば、60歳になったら医療保険はスパッとやめた方が効率が良いと分かっていても、「これから病気になるかもしれない」という不安(感情)から保険を継続してしまい、結局70歳まで健康に生きて「あの支払ったお金は一体何だったんだ」となるケースは非常に多いそうです。
統計学やデータで見れば、一切保険に入らない方が、手元のお金は増える仕組みになっています。保険を選ぶときは、なんとなく入るのではなく、「起きる確率が大きいか小さいか」「起きたときに困る金額が大きいか小さいか」を冷静に判断して、必要なものだけをピンポイントで絞ることが大切です。


