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防災イベントで「ダンボールベッド」を体験しよう!被災者の健康に貢献【暮らしの防災】

メ~テレ
07.25(金)15:20

防災イベントでは「避難所コーナー」や「避難所宿泊体験」があります。そこで体験して頂きたいのが「ダンボールベッド」です。「堅そう」「寝心地が悪い」「すぐダメになってしまう」などの印象があると思います。しかし実際は違います。ダンボールベッドは、「被災者の睡眠」「プライバシー保護」に役立ち、さらに「被災者の健康」にも貢献します。とは言っても体験してみないと、どんなものかわかりません。まずはイベントや体験会でさわって、ゴロンとしてみてください。

寝心地はGOOD プライバシーも守る

提供:避難所・避難生活学会  水谷代表理事

 日本は「畳で寝る文化」があるので「床に直接寝る」ことへの抵抗感は低く、避難所では床に敷かれたブルーシートに横たわります。しかし床は硬く、次第に体が痛くなってきます。冬場は床が冷えていて、寒くてたまりません。

「トラス構造」でクッション性・断熱性も

ダンボールの断面

 ダンボールの断面を見ると、2枚の紙が「なみなみの紙」をサンドイッチしています。これを「トラス構造」と言います。トラス構造で紙が強度を持ち、なみなみのところの空気がクッション性・断熱性を生みます。これでダンボールベッドは、私たちの体を受け止め、床の熱を遮り、長持ちするわけです。寝心地は見た目とは違ってGOODです。

 さらにダンボールベッドにダンボール製の仕切りを組み合わせることで、個人・家族の空間を作ることができます。被災者のプライバシーも守ってくれます。

被災者の健康面でも貢献

ダンボールベッドの設置例

 発災直後、被災者・関係者・取材陣などは避難所へ土足で入りがちです。避難者の居住スペースでは、靴についた土や泥からホコリ・細菌・ウイルスが舞います。この段階では被災者は床のブルーシートなどに寝ているので、その空気・粉塵を吸い込んでしまい呼吸器系疾患を招きます。

 このため医療関係者は「寝る場所の高さを、床から30cm以上あげること」を強く呼びかけています。また、「避難所では、玄関口で靴を脱ぎ靴下か裸足で避難(居住)スペースに入って欲しい」と言います。靴を脱ぐだけで避難所の居住スペースの「空気の汚れ具合」がかなり改善するのです。

避難所の床を掃除してみると…

避難所の床を掃除してみると粉塵などが

 ダンボールベッドを使うと床から30cm以上の高さで寝ることになり、被災者は、粉塵や細菌、ウイルスから自分の体を守れます。単に寝心地が良くなるだけではありません。

長期間使った被災者も

長期間使った被災者も

 ダンボールベッドは「紙製」なので、あまり長持ちしないという印象があります。もちろん水をかけてしまったり、使用場所の湿度が高かったりすると傷んでしまいます。

 しかし大切に使うとかなり長く使えます。写真のダンボールベッドは2011年の東日本大震災の時、岩手県陸前高田市の被災者の女性に提供されたものです。女性は避難所生活が終わっても、仮設住宅→復興住宅と約9年間このダンボールベッドを使ってきたそうです。写真を見てわかるようにシッカリしています。まだまだ大丈夫。かなりの強度です。

なぜダンボールなのか

イタリアの避難所のベッド

 海外の避難所では、みなさんがキャンプで使うような「パイプ製などの簡易ベッド」を使います。一方、日本ではダンボールベッドです。

ダンボールベッドのメリットは、
・簡易ベッドと比較してコストが安い
・大量生産できる(日本全国に生産できるメーカーは3000社あります)
・素手で組み立てられる(工具がいらない)
・処分が容易でリサイクルできる

などが挙げられます。また、これまではメーカーがそれぞれ工夫した規格で作っていたので、一口にダンボールベッドと言っても13種類ありました。サイズも組み立て方も違うので、避難所では扱いに苦労した方もいたかもしれません。

メーカーの団体が統一規格のものを開発

統一規格のダンボールベッド 提供:全国段ボール工業組合連合会

 しかし、メーカーの団体が統一規格のものを開発し、どのメーカーも同じダンボールベッドを供給できるようになり、運用負荷が減りました。

<被災者が″希望″しないと提供されないことも>

 例えば、市町村から避難所に「ダンボールベッドは必要ですか」と、問い合わせがあったとします。この時、被災者の方が「要りません」と答えると、その避難所にダンボールベッドが提供されない可能性があります。「要りません」の理由が、「本当に必要ない」のであればいいのですが、ボランティア団体によると、被災者の方が「ダンボールベッドを見たことが無い」「寝たことがない」「組み立て方がわからない」などの理由で、「要りません」と答えるケースがあったそうです。

 そこで、防災イベントなどで「一度、さわって、ゴロンとしてみては」と提案する次第です。まさか!の時のために、体験してみてください。

    ◇

 被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。

■五十嵐 信裕
 東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。

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