人手不足が深刻な介護の業界。外国人はもちろん、いまやスキマバイトも重要な担い手に。その実情を取材しました。
【写真を見る】25万人不足の介護現場で欠かせない“スキマバイト”と外国人 「いなかったら恐ろしいことに」
名古屋市内の介護施設。日曜の朝早くに出勤したのは、週1回ここで働く兵頭知海さん、24歳。早速101歳の入居者の起床介護です。
(4月からアルバイト 兵頭知海さん)
「起こしにきましたよ」
職員の指導を受けながら101歳の女性をベッドから起こし、トイレの介助も。慣れた様子の兵頭さんですが、実は4月から入ったばかりのアルバイト。本業は看護学校の学生です。
アルバイトが“救い”に 職員のシフトにも余裕が
続いて朝食を食べる手伝い、血圧や体温測定、お風呂の介助など…午前中の4時間にびっしりと業務が。介護業務は、始めて1年以内に簡単なオンライン研修を受ける条件で、無資格でもほとんどの仕事に従事できます。
(兵頭さん)
「僕も働いている中で、勉強させてもらっている。教科書で学ぶことと実際の現場でやることは違う。それを実践する場」
この施設では入所者16人のケアを、毎日早番3人、遅番2人の合わせて5人で行っていますが、4月から兵頭さんがアルバイトに入ったことで、職員のシフトにも余裕が生まれています。
介護の人手は25万人足りない現実「将来続けるなら看護師の方がいい」
看護という“近い業界”を目指す兵頭さんに聞いてみました。
(兵頭さん)
Q.アルバイトしてみて「将来は介護の道に進みたい」と思った?
「正直に言うと今のところまだない。(キツイという)社会のイメージに引きずられている感覚はある。(資格の)ハードルの高さが給料に反映されることを考えると、将来続けていくのは看護師の方がいいかなと思う」
体力面も報酬面もキツいとされる介護の仕事。
求人倍率は4倍、25万人もの人手不足という深刻な状況の中、今やアルバイトはなくてはならない存在です。
介護現場を支える“スキマバイト”
この日、厨房にはもう1人若い男性が。
(大学生1年生 升新太さん 18歳)
「時間があったし、ひとり暮らしをしていて稼がないと食べていけない」
春から、名古屋の大学に通っている升新太さん18歳。この日、いわゆる「スキマバイト」でここへ来ました。
(升さん)
「その人の小ささに合わせて(食材を)切っている。何回もやっていて、ここがとても楽しいので」
身体介助ではなく、食事作りを担当する升さん。入所者それぞれに合わせた大きさに食材を細かく切っていきます。
升さんがここの厨房で働くのは3回目。1回2時間で、時給は最低賃金に交通費を足した1440円です。
週に3~4回はスキマバイトを募集する施設も
(升さん)
Q.給料は高いとう?安いと思う?
「あまり値段のことは考えていなかったが…交通費が付いているのなら高いんじゃないか」
(職員)
「なかなか現場も、やりながら合間を縫って厨房は難しいので、即戦力になってくれて本当に助かっている」
身体介助以外にも調理や掃除など、数多くの業務がある介護施設にとって、スキマバイトは職員の本業を支える重要な存在。ここでも週に3~4回はスキマバイトの募集をかけています。
(結の樹 丸山隼人代表取締役)
Q.近づいて埋まらないと焦りますか?
「『どうしようかな』と。埋まらなければわれわれが入るので、いつもより2時間早く出勤するとか。介護職員は“資格がないとできないこと”(介助)に集中できるので、ご利用者様とゆっくり落ち着いた状態で仕事ができる」
「外国人」も今や不可欠な戦力
アルバイトに加えて、かなり以前から介護の欠かせない担い手なのが…外国人です。
愛知県田原市の福祉法人が運営する介護の専門学校。入浴の介助を学んでいたのは、インドネシアからの留学生。
(インドネシア出身 アユさん 21歳)
「おじいさんとおばあさんのお世話やって、将来は誰かのために役に立ちたいなと思って介護の仕事を選びました」
Q.(家族と離れて)寂しくない?
「寂しい。でも毎晩、夜には電話している」
彼女たちが希望するのは、日本の介護業界への就職です。
この学校で学んで介護福祉士の資格を取れば、その後長く日本で働くことができます。生徒62人のうち、外国人は半分以上の36人。専門学校で積極的に外国人を受け入れる背景には、担い手不足への危機感があります。
「外国人がいなかったらと考えるとちょっと恐ろしい…」
(福寿園・専門学校を設置 古田周作理事長)
「介護現場に外国人がいなかったらと考えると、ちょっと恐ろしい…それくらい頼っています」
卒業生の一部は、学校を運営する福祉法人の介護施設に就職します。
4年前から働いているベトナム出身のタオさん(25)は…
(タオさん)
「方言があるときはちょっと困りますが、わからないときは『教えてもらえますか?』と聞いたら教えてくれるので、それも勉強になる」
(古田理事長)
「外国人を受け入れるメリットは、明るい国民性やホスピタリティ。仕事も丁寧ですし、非常に介護に向いています」
需要は拡大する中、アルバイトや外国人など、多様な担い手で何とか現場を維持している日本の介護。さらなる待遇改善や社会的地位の向上など「選ばれる仕事」に変わっていく必要があります。


