近鉄が「食」をテーマにした観光列車運行へ “伊勢志摩サミットのディナー”担当シェフがフレンチのコースを監修 伊勢志摩観光の起爆剤となるか

(近畿日本鉄道・原恭社長)
「本日、近鉄初の本格的なレストラン列車を運行することを発表します」
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近鉄が、きょう10月31日に発表したのは「食」をテーマにした新たな観光列車。青のボディに金色のラインがアクセント。近鉄名古屋駅を出発すると、停車駅は三重県の伊勢市駅、宇治山田駅、五十鈴川駅、鳥羽駅、鵜方駅、そして終点は賢島駅。約2時間半で結びます。
その名は…
(近鉄・原社長)
「Les Saveurs(レ・サヴール)志摩と命名しました」
「サヴール」とは、「味」「風味」をあらわすフランス語で、コンセプトは「美食が誘う、優雅な列車旅」本格フレンチを楽しめる旅を演出します。4両編成で、全体で50席を配置。本格フレンチコースをテーブル席で楽しめたり、プライベート空間を確保した1人席と2人席もあります。
こちらは、1号車と2号車で提供される「フレンチ膳」。三重県産の食材をふんだんに使った、彩りあるフレンチを木箱に詰め込んだもので、近鉄・都ホテルズが監修します。
そして…フレンチコースは、監修が志摩観光ホテル総料理長の樋口宏江さんです。
“伊勢志摩サミットのディナー”担当シェフが監修するフレンチコース
きょう31日、メニューの一つビーフシチューを試食させて頂きました。
(藤井竜太郎記者)
「お肉がとても柔らかいです。口いっぱいに上品なうまみが広がります」
樋口総料理長は、2016年の「伊勢志摩サミット」で、世界のトップが口にしたディナーを任されたことでも知られる「フレンチのスペシャリスト」です。
(志摩観光ホテル・樋口宏江総料理長)
「サミットでも会議をしながらという部分で制約がありながらも、最大限お楽しみいただけるように(工夫した)。列車の中でも動く環境で、最大限お客さまにお楽しみいただけるように、温かい料理、冷たい料理、工夫をこらして用意している」
(近鉄・深井滋雄取締役)
Q.乗車料金は?
「フレンチのコースが乗車料金も含めて2万円台後半。フレンチ膳で1万円台後半を検討している」
特急「ひのとり」車両チームが内装について熱く議論
「至高の料理」とともに、列車内のこだわりも…
「角度が付き過ぎた気も…。ずるっとなる」
私たちは、車両に見立てたスペースで行われたスタッフ会議に密着。すると…列車内を快適空間にすべく、いすの背もたれの高さや、肘掛けの角度なども熱く議論…。
(GKインダストリアルデザイン・朝倉重德社長)
「レストランを、そのまま鉄道の中に持ってくればいいということでは、決してない」
内装と外装のデザインは、名古屋と大阪を結び人気車両となっている特急「ひのとり」の車両デザインを担当したチームです。
(GKインダストリアルデザイン・朝倉社長)
「ナイフとフォークを持って、ちょっと前かがみの姿勢で座る。食べ終わると、鉄道なのでゆっくりと後ろによりかかって車窓を見る、両方うまくいく椅子ということで、苦労して検討した」
伊勢志摩地域の観光の起爆剤となるか
これまでのノウハウを結集した「Les Saveurs(レ・サヴール)志摩」。
近鉄は、この列車に約7億5000万円を投資します。
(近鉄・原社長)
「首都圏のお客さまには、伊勢志摩の認知度がまだ低いので、そこを上げたい。(首都圏から)お客さまを呼び込みたい」
名古屋~伊勢志摩間の近鉄・特急列車の利用人数は、まだコロナ禍前の状況に戻っていません。
賢島駅のある志摩市も、観光客獲得には苦戦。
(志摩市観光経済部・出口みさと部長)
「志摩市の認知度が低いところに、一つ課題があると感じている。列車名に志摩という文字を付けていただいたことに感激している。大きな期待をしている」
こうした現状を打開できるか、「Les Saveurs(レ・サヴール)志摩」は、来年秋の運行開始です。





