新井美羽さん「ぴよりんは目から食べた」 映画『ディア・ファミリー』の三女役にインタビュー
大泉洋さん主演の実話映画『ディア・ファミリー』が、6月14日(金)から絶賛公開中。小さな町工場の経営者・坪井宣政が、心臓疾患によって余命10年を宣告された娘・佳美のために人工心臓やカテーテル開発に挑む、家族の愛と絆を描いた物語です。
そんな本作で佳美の妹・寿美役を演じた新井美羽さんに、映画の見どころや撮影秘話、名古屋名物の印象などを伺いました。(聞き手/テレビ愛知アナウンサー 長江麻美)
これが実話だとは信じられなかった
――本作は愛知県に実在する、筒井さんご家族を元にした作品ですね。三女・寿美ちゃん役を演じる上で、どのようなことを感じましたか?
「最初、これが実話だとは信じられませんでした。『どんな家族なんだろう? この家族の中で寿美ちゃんは何を知っていて、何をしてきたんだろう?』と、とても興味がありました。ご本人に会っても映画が完成しても、本当にすごいなと。才能ではなく“やり遂げよう”という諦めない気持ちがあるからこそできたんだと、すごく親近感が湧きました」
――新井さんご自身の心境に変化はありましたか?
「映画を観終わったあと、“何かできるかも”と思いました。諦めない強い気持ちは本当に大切です。映画を見ていて、これダメだ、絶対ダメだ、というシーンが何回かあったと思います。でも、それでも家族は絶対に立ち直っていくその強さが素敵でした」
――特にこだわったシーンは?
「お父さんとお母さんが、目の前で佳美お姉ちゃんを看ているシーンは、三女という立場もあって複雑でした。普段泣かないはずのお父さんが泣いていて。お姉ちゃんが死んじゃうかもという状況はすごく苦しかったですし、大変でした」
ご本人が実在する中での役作り
――映画のモデルとなった筒井さんご家族とお会いしたとき、どんな話をされましたか?
「お姉ちゃんたちとどんな生活をしていたのか、姉である佳美さんは病気だったので、学校での生活や普段の生活など、どのようにお姉ちゃんを支えてきたのか、たくさんお話させてもらいました」
――実際の寿美さんはどんな方でしたか?
「すごく明るくて、おおらかな方でした。筒井さんご家族は何か強いものを持っていて、すごいことをやり遂げた家族だったので、言葉に力がある。堂々としていてカッコよかったです」
――実話を元にした映画のため、難しいところもあったのでは?
「実際にご本人がいる役は初めてだったので、とても悩みました。でも、割と自分の性格と近い部分もあって、共感できる部分が多かったので、大きく役作りをすることはなかったです」
――どんな点が、ご自身の性格と近かったのでしょうか?
「私は長女なんですけど、あんまりお姉ちゃん感がないというか。三女に近いような家族での立ち位置なので、性格も家族との関係性も似ていました」
――完成した映画『ディア・ファミリー』について、ご本人の筒井寿美さんの反応はいかがでしたか?
「『すごく嬉しかったです。ありがとうございます』と言ってくださいました。『見るの7回目です、8回目です』『そんなにー?』みたいな話もしました(笑)。ご本人に見てもらうのは少し緊張していたんですけど、こうした言葉をいただいて安心しましたね」
大泉洋さんの手作りパスタがおいしかった
――撮影はどんな雰囲気でしたか?
「とても明るい雰囲気でした。お父さんは大泉洋さん(宣政役)、お母さんは菅野美穂さん(陽子役)なので、すごく明るい家族になって。でも、病室のシーンは、いつもとは全然違う家族の雰囲気でした」
――思い出に残っているエピソードがあったら教えてください。
「え~どれにしよう! とにかく大泉さんと菅野さんの面白話がたくさんあって。私が名古屋に1人で出張したときに心配してくださって、大泉さんが昼ご飯に手作りのミートソースのパスタを作ってくれたんです。『ちょっと良いお肉が届いたから、それでパスタ作った』って。それがすごくおいしかったです」
――本当にお父さんが娘を心配するように(笑)
そうなんです(笑)。
――三姉妹はどんな雰囲気でしたか?
「私自身、お姉ちゃんがいないので、すごく楽しみにしていました。ただ、最初は緊張してなかなか話かけられなくて。でもお姉ちゃん2人(佳美役/福本莉子さん・奈美役/川栄李奈さん)が、一緒にご飯食べようとか、最近学校どうなの? って本当のお姉ちゃんみたいにお話をしてくれていたので、撮影終盤はずっとピッタリくっついていました」
名古屋名物「ぴよりん」にハマった
――名古屋の印象はいかがですか?
「『あ、帰ってきた』という気分でした。2023年は長い期間、名古屋にいたので、どこにどんなお店があるのか分かってきて、安心して楽しめますね」
――特にここがお気に入りという場所は?
「名古屋駅周辺はご飯を食べに行ったり、ちょっとお買い物したりして休みの日はその辺りをぶらぶら巡っていました」
――名古屋のお気に入りグルメはありますか?
「ひよこの『ぴよりん』はかわいらしくて、おいしかったです! 2、3回食べました。どっから食べるんかな? と迷いました」
――どこから食べましたか?
「目から食べました(笑)」
新井さんから観客の皆さまにメッセージ
――映画『ディア・ファミリー』を通して伝えたいことは?
「今まで演技のお仕事を続けてきて、諦めなくて良かったと思う場面が何度もありました。目標を達成していく家族の姿と、今の自分の姿が重なるところがあり、私にはすごく刺さりました。みなさんにもその部分が伝わると良いなと思います」
――観客の皆さまにメッセージをお願いします。
「この映画は素敵な家族の愛のお話です。大切な方と観ていただけたらうれしいです」