年に1度の祭り「田原けんか凧」に密着 凧を切り飛ばす激しい空中戦【田原市】
毎年5月に愛知県田原市で開催される、田原凧まつりの見どころのひとつが「田原けんか凧」です。参加者は大きな凧を巧みに操り、空中でぶつけ合いながら相手の凧を切り落とすことを競います。今回は、そんな迫力満点の祭りの様子に迫ります。
田原イチ熱い戦いの内容は「ぼいやっこ」
5月になると「田原けんか凧」に向けて、練習を重ねる地元の人々の姿が見られます。けんか凧では、相手の凧を「ぼいやっこ」するのだそう。
これは田原弁で追いかけっこを意味するのですが、ただの追いかけっこではありません。空中で相手の凧を追いかけ、切り飛ばすのです。まさに名前の通り、凧のけんかですね。
しかも、地上でも凧をめぐって怒号が飛び交うことも。田原イチ熱い戦いが始まります。
「田原けんか凧」の注目チームは?
普通の凧は4点止めですが、田原の凧は2点止め。安定させるのが難しい一方、腕次第では自由自在に操ることができるそう。さすがキャリア40年、2023年の準優勝チーム「青FU」を引っ張る鈴木さん。思いのままに凧を操っています。
そして凧糸に、相手を負かす秘密が。「南京」と呼ばれるガラスの粉を凧糸に塗り、相手の凧の糸を切るのです。この南京はチームによって、どんなガラスの粉を使用するか変わります。
そんなけんか凧には、チーム赤6の小笠原さんという絶対王者も。2023年、史上初の3連覇を果たしています。思った方向に凧を飛ばすだけでなく、低空飛行からクイックターンまで、驚愕のテクニックを見せていただきました。2024年の目標はもちろん4連覇です。
最年少の小学生も「田原けんか凧」に参戦!
当日、全国から腕自慢の猛者たちが25組、田原に集います。中には、小学4年生・漣(れむ)くんも。2年前、けんか凧の魅力にハマり、地元にある「凧の学校・はやぶさ」に入学。大会最年少ファイターですが、今では大人顔負けの腕前の持ち主です。
これまで何度も練習してきた、上空から一気に凧を降ろす「急降下」。勝利へのカギは、相手より上から攻めることです。上から一気に糸を摩擦させることで、相手の凧を切り落とします。
2023年初参加だったれむくんには、心残りがありました。じつは糸が傷んでいたこともあって、自然に糸が切れてけんかもできずに敗退してしまったのです。今回はようやく、けんか凧に参戦できると意気込みます。念願の1勝をもぎ取れるのでしょうか⁉
「田原けんか凧」のバトルと結果はいかに?
全国から集まった25チームの凧が、続々と上空へ。色違いの相手を切れば1枚につき10点獲得! 10回戦を行い、より多くの凧を切ったチームが優勝となります。
まずは前回準優勝した青FUを操るベテラン・鈴木さん。赤11へ仕掛けにいき、相手の上から糸を被せることに成功。そして急降下して、赤11の糸を切り飛ばします。
続いて絶対王者・小笠原さんが操る赤6がとんでもない技を披露! 寿と青丸の2枚の凧の上に回り込み、一気にぶった切ったのです。
打倒、絶対王者に燃える青FUの鈴木さんも負けじと追いかけます。すぐさま1枚切り飛ばし、同点! しかし強すぎる絶対王者。なんと、またしても 2枚切りで差を広げていきます。
一方で大会最年少のれむくん。目標は1勝、大人相手に挑みます。相手に選んだのは、三河を代表する自動車部品メーカー・アイシンのチームです。れむくんはキャリア10年以上の猛者たちが操る凧へ、得意の急降下を使って奇襲攻撃を仕掛けます。
れむくん優位で進んだものの、糸を切ることはできず、時間制限で引き分けに。初勝利はおあずけでしたが、5点獲得できました。