「フワフワで泡みたい…」ウナギの最強コンビ「呉汁」とは?ルーツの店で聞いた歴史や秘伝のレシピも大公開『チャント!』
7月24日は「土用の丑の日」です。熟成タレをくぐらせて、香ばしく焼き上げたうなぎのお供と言えば、お吸い物。今回は、このうなぎとセットになっている「汁物」に関して、岡崎市在住の伊藤さんから調査依頼をいただきました。
宮崎県でうなぎのお供といえば「お吸い物」ではなく「呉汁」!?
19歳から32歳までの13年間、宮崎県で暮らしていた伊藤さん。宮崎県では、うなぎに「お吸い物」ではなく「呉汁(ごじる)」という汁物がついてきたといいます。その呉汁というのが…。
(依頼者・伊藤さん)
「見た目が真っ白で、泡みたいでふわふわした感じ。(味の)ベースは大豆だと思う。だしなのかみそ汁なのか覚えていない…」
今回の調査依頼は「なぜ宮崎ではうなぎに呉汁がついてくるの?」。さらに、宮崎県のお店の全面協力により、呉汁を再現します。
フワフワでクリーミー!思い出の「呉汁」は存在するの?
呉汁とは、水で戻した大豆をすりつぶした「呉」を、みそ汁にいれた物です。伊藤さんが話していた「大豆の汁」という記憶は間違いなさそう。呉汁は全国各地で食べられている郷土料理とのことですが、「白くてふわふわ、泡のよう」ではありませんでした。
「宮崎のことは宮崎出身の人に聞こう」と、名古屋市・中区の宮崎料理店「おらが村 名古屋店」に訪れました。料理長の福山さんからは、呉汁についての有力情報を教えてもらいました。
(おらが村 名古屋店 料理長・福山央貴さん)
「見た感じは白くてクリーミー。“うなぎの入船”で食べました」
実は依頼者の伊藤さんも、“うなぎの入船”で食べた呉汁が一番おいしかったと言います。
うなぎのお供を「呉汁」にしたルーツに迫る!
創業明治27年の「うなぎ料理 入船」。多い日には600人以上来店するという、宮崎では有名な老舗うなぎ料理店です。そんな店の名物「呉汁」は…。
(中山調査員)
「うわ~すごい。ふわふわ」
白くてクリーミーで、ふわふわしていました。「うなぎ料理 入船」3代目・横山邦夫さんに、なぜ「お吸い物」ではなく「呉汁」にしたのかを伺いました。
(うなぎ料理 入船 3代目 ・横山邦夫さん)
「2代目が始めた」
邦夫さんの母で2代目・横山ツユ子さんが、約50年前に家庭で出していた大豆入りのみそ汁をアレンジ。これを、うなぎと一緒に提供したのが始まりではないかと言います。
うなぎと呉汁の組み合わせが評判を呼び、いつしか宮崎の他店でも呉汁を出すお店が増えていったそうです。そんな「うなぎ料理 入船」の呉汁は、こだわりが半端じゃありませんでした。
(うなぎ料理 入船 3代目・横山邦夫さん)
「大きなすり鉢で1時間半ぐらいする」
呉汁のために北海道産の大豆を取り寄せているとのこと。毎朝“その日に使う分だけ”を手作業ですりつぶしています。
(うなぎ料理 入船 3代目・横山邦夫さん)
「うなぎを呉汁と一緒に食べると、(うなぎの)コッテリ感がやわらぐ感じになる」
今回、横山さんに「呉汁をもう一度飲んでみたい」という伊藤さんの想いを伝えたところ、レシピを教えていただけることになりました。
おいしさのポイントは愛情!「呉汁」の秘伝レシピを大公開
宮崎での思い出の味“入船の呉汁”を再現したレシピをご紹介します。
【思い出の“入船の呉汁”(4人分)】
・乾燥大豆 80g(一晩水で戻す)
・合わせみそ 大さじ3
・だし汁 4カップ(昆布&煮干し顆粒だしでも可)
・豆腐 150g
・刻みネギ 適量
① 一晩水で戻した大豆を、ミキサーやハンドブレンダーなどで細かくする。水を少し加えるとなめらかになり、つぶしやすくなる
② 細かくつぶした大豆「呉」をすり鉢でする。
(うなぎ料理 入船 3代目・横山邦夫さん)
「この作業が一番大変ですが、それさえこなしていただければ(入船みたいな)クリーミーな呉が出来上がります。愛情を込めればおいしくなる」
愛情を込めすりあげるのが、重要なポイントです。
③ 呉を沸騰直前まで温めたみそ汁に入れ、軽くほぐす。“グツグツしたらほぐす”の工程を2~3回繰り返し、最後にネギを散らせば完成
(依頼者・伊藤さん)
「大豆感も残っていて、こんな感じだったかなと思いますね」
うなぎと呉汁の“最強の組み合わせ”で味わってみたところ…。
(依頼者・伊藤さん)
「あっ!やっぱり、似ているかも」
無事、依頼者の思い出の味を再現できたようです。伊藤さんからは「すごく満足した」との言葉をいただき、今回の調査は一件落着しました。
CBCテレビ「チャント!」7月12日放送より