朝から"出待ち"される農家!新城市「福津農園」の人気農家、松澤政満さんに会いに行った
豊橋市内のスーパーで週1回開かれているのが「豊橋有機農業の会」の朝市。生産者が運んでくる新鮮な野菜や農産物などを求め、朝早くからたくさんの豊橋市民たちが訪れています。
そんな朝市でお客さんが“出待ち”するほど大人気の農家が、福津農園の松澤政満さんです。いったいどんな農家なのか、会いに行きました!
おいしさの秘密は草ボーボーの畑
松澤さんの農園があるのは新城市の福津地区。山道を30分ほどかけて進み、さらに車1台がようやく通れるほどの道を通り抜けた先に、松澤さんが営む福津農園がありました。
奥さんと2人で営む福津農園は、深い山の中にぽっかりと開けた“オアシス”のような場所。大自然をそのまま生かした農地は里山の原風景そのものです。
山の中を案内してもらうと、ウコンやニラ、セリなどが辺りに多数自生。特段植えているものではなく、野生で生えてくるといいます。
「500年以上持続可能な農業」を目指し、40年前に脱サラし実家へと戻った松澤さん。しかし、畑を見せてもらったところ、草がボーボーに生い茂りとてもおいしい野菜が育ちそうには見えません。
じつは、このボーボーに生えている草こそが松澤さんの野菜の“おいしさの源”。生い茂った草をドラム缶で押し倒し、倒した草をかき分けて野菜の苗を植えていくことで、おいしい野菜が育つんだそうです。
松澤さんによると、生い茂った草を倒して畑が覆われることで、ほかの雑草が生えにくくなるとのこと。さらに、倒れた草が昆虫や微生物のすみかとなることで、生物が勝手に畑を耕し、土が育つとのことです。
松澤さんの野菜のおいしさの秘密は、独自の農法で40年かけて育ててきた畑そのもの。長年の努力により独特の生態系が確立した畑だからこそ、食べ応えのある野菜が育ちます。
山中の暮らしならではの憩い
福津農園では鶏も飼育。鶏のエサも米ぬかと玄米クズを材料に松澤さんが毎日手作りしている発酵飼料を与えています。このエサが余程おいしいのか、松澤さんがエサ箱に入れると、鶏たちがあっという間に集まり、夢中でついばみます。
ほとんどの食べ物を自給自足でまかなっている松澤家。この日の昼食に登場したのは、産みたての卵をぜいたくに使った大きな卵焼きや、旬のほうれん草のごましょう油和えなど、素材本来の味が引き立つ逸品ばかりです。
ほうれん草に和えたごまは、自家栽培の生ごまを食べる直前に炒ってからすった手作りのもの。何よりも代えがたいごちそうです!
大変な仕事を終えた松澤さん夫妻の癒しは、この時期ならではの夜の風景。農園の一角ではゲンジボタルが夜空を舞う姿が今でも見られるといいます。
「全国でこれが当たり前の風景になってほしい」と話す松澤さん。自然とともに歩む松澤さんご夫婦の暮らしはこれからも続きます。