直径6cm以上の超特大肉団子！常連客に愛される町中華のルーツはフレンチ！？『チャント！』
ほくほくのチャーハンや、熱々の麻婆豆腐など、時々無性に食べたくなるのが大衆中華料理店、通称「町中華」です。人気町中華には必ず、長年愛されてきた「常連メシ」が存在するもの！ 常連客がこぞって注文し、唸らせる一品「看板メニュー」には一体どんな“ルーツ”が隠されているのでしょうか。
シリーズ「町中華常連メシ誕生秘話！」、今回は名古屋市中区千代田にある「中華料理本店 味園本店」の“肉団子”を独自調査しました！
直径6㎝以上もある特大肉団子！？唯一無二のサイズ感が人気
常連客でにぎわう「味園」の店内。様々なメニューの注文が飛び交いますが、ほとんどの客が、必ず注文していたのが看板メニュー「肉団子」です。その特徴を店内で聞きました。
（常連客）
「普通の中華はもっと小さい。味園は大きい。ガチャガチャ（のカプセル）くらい」
他の店ではなかなかお目にかかれない、直径6cmはある超大玉サイズの肉団子です。遠方から来た常連客は…。
（静岡から来た常連客）
「こんなでかい肉団子は、静岡にはない」
中国から来た客も、こんなに大きな肉団子を見たことがないとびっくり。大人から子どもまで、巨大な肉団子の食べ応えに大満足。客たちを虜にしている「味園」の肉団子にからめる甘酢あんは、毎日5時間煮込んだ自家製中華スープをベースにして作ります。そこに企業秘密の調味料を配合し鍋でからめたら、さっぱりした味が特徴の甘酢あんが完成です。
常連客でも派閥が分かれる「甘酢派」VS「塩派」！
甘酢の香り漂う店内を観察していると、 厨房に「塩5個」という 不思議な注文が入りました。
（20年以上通う常連客）
「肉団子は『甘酢あんかけ』と『塩』で好みがある」
中華ではかなり珍しい“甘酢をからめない肉団子”で、一緒に添えられた塩を付けて食べるスタイル。こちらも、甘酢に引けを取らない人気メニューです。「甘酢派」と「塩派」は、常連客の間でも意見が分かれるようで…。
（塩派の客）
「塩は肉団子の肉がまろやか。肉汁のジューシーさを味わえる」
（甘酢派）
「塩は食べない、食べない。塩より甘酢の方がおいしいよな！」
甘酢あんは、タレの味がしっかり絡んだ『ご飯のお供系』。塩は、肉本来の味と肉汁を楽しむ『酒のつまみ系』のようです。ただ、塩派のお客さんの中には、一風変わった食べ方をする人も。
（常連客）
「酢豚の残りの“ネギ（薬味）”を肉団子（塩）にかけて食べてます」
他にも、ラーメンの汁に漬けて食べる人など、それぞれの楽しみ方で、肉団子を堪能していました。
フレンチ出身のマスター発案「洋食のハンバーグみたいな肉団子」
そもそも、なぜ巨大肉団子が生まれたのでしょうか。お客さんから聞こえて来たキーワードは「ハンバーグ」です。
（40年近く通う常連客）
「ハンバーグを小さくしたのが肉団子。洋食から来てるんじゃない？マスターは洋食やってたから（Q町のフランス料理店？）ホテル！」
実は「味園」を立ち上げたマスター筒木哲也さんは、かつてホテルの高級フレンチで腕を振るった凄腕料理人。マスターの奥さん・筒木英子さんも「味園」の肉団子にはフレンチの技術が生かされているといいます。
「味園」のマスターが目指したのは、“洋食のハンバーグ”みたいな肉団子。豚ミンチ、たまねぎ、卵などの食材を、醤油、ごま油、酒などで味付けし、つなぎの片栗粉は最小限に抑えたシンプルな肉団子。そこに不可欠だったのが…
（妻・筒木英子さん）
「他の町中華では、肉団子にタマネギは入ってない。フレンチではタマネギをじっくり炒めて、甘味・うま味を引き出して料理に使用する。コクを出すため」
味園の肉団子には、大きめに切った玉ねぎが大量に入れられます。刻んだ玉ねぎは、一日ボール３杯分！弱火でじっくり時間をかけて熱を通し、タマネギのコクや甘さを最大限に引き出します。そのために、この巨大なサイズが絶対不可欠だったのです。
味に自信があるからこそ、「そのまま食べてほしい」と言う思いから“塩味”が生まれたのでした。肉団子の生みの親であるマスターは、病気療養のためお店を引退。現在は、奥さんの栄子さんと一番弟子の千田さんの２人で自慢の味を引き継いでいます。
（常連客）
「フレンチはソースが命と言われるから、甘酢にもこだわっていておいしい」
今日も、「味園」でしか食べられない大きな肉団子を求め、常連客がやってきます。
CBCテレビ「チャント！」9月19日放送より
