北海道大学発のスタートアップが、今ウキクサを大量生産しようと実証実験を進めています。
栽培にエネルギーのかからないウキクサはタンパク質を豊富に含み、将来の食糧問題への備えになると考えているためです。気候変動に食の分野から挑戦する企業の取り組みを取材しました。
大豆の140分の1の土地で栽培可能! 注目の「スーパーフード」

愛知県豊橋市。北海道大学発のスタートアップ「Floatmeal(フロートミール)」の研究拠点があります。ビニールハウス内の水槽では、淡水で育つゴマ粒ほどの大きさのウキクサの一種「ウォルフィア」が、水流にのって栽培されています。

Floatmeal 北村もあなCEO:
「次世代の栄養源、タンパク源として使えるのではないかと考えています。環境負荷の低い食べ物として展開できます」

代表の北村さんは北海道大学水産学部に進学し、環境問題に関心を持つように。大学内でウキクサの研究をしていた現在のCTO、サジャッドさんと出会い、ウォルフィアを大量に生産・販売することを目指すスタートアップとして、2023年に創業しました。ウォルフィアの成長スピードは早く、水温25度以上であれば3日で2倍程度に増えることもあります。

省スペースで栽培できるのも強みです。同じ量のタンパク質を生産するために必要な土地の面積は、大豆の約140分の1、牛肉の2万4000分の1で済みます。

ウォルフィアはその成長スピードと環境負荷の小ささから、地球の環境問題、食料問題の解決につながる「スーパーフード」として世界各地で注目されている食べ物です。
抹茶風味で食べやすく、健康・美容市場へ展開

収穫したあとは乾燥・粉砕してパウダーにします。タンパク質の量を比べると、粉末100グラム中44グラム含みます。大豆の33グラム、牛肉の22グラムを上回る割合です。その味わいについて、実際に試食した人は次のように話します。

テレビ北海道 三品幸平記者:
「ほのかに、抹茶のような風味を感じます」

東京都内のカフェでは、粉末とジュースを混ぜてスムージーとして提供しています。
女性客:
「結構、野菜が強い感じの味なのかなと思ったんですけど、すごくフルーティーで美味しいです」

苦味やエグ味がほとんどなく、食品に混ぜやすいのが特徴で、健康面を気遣う人や美容の意識が高い人にも人気です。北海道江別市の企業とは、ウォルフィアをゼリーに練り込んだ商品を開発中。ビタミンやミネラルも豊富に含んでいることから、不足しがちな栄養素を補う食材として売り出します。

今後は、健康食品市場やアスリート向けの市場を掘り起こす方針です。
大学発の技術で世界へ、2032年に売上高100億円を目指す

ウォルフィアを生産する企業は海外には複数ありますが、Floatmealの強みは、北海道大学で研究されてきた、ウォルフィアの成長をさらに促進する技術です。微生物と共生させることで生産性を高めて、コストを下げます。

タイではウォルフィアを食べる習慣があり、生産工場もあります。Floatmealは2027年、2028年の2年間で栽培技術を現地企業に供与することで、大量生産できる体制を築く方針です。2032年には売上高100億円以上を目指すとしています。

日本経済新聞 札幌支社 鷲田智憲記者:
「国連は2061年に世界人口が100億人を超えると推計していて、食料の確保が課題となっています。動物由来ではない環境負荷の低いタンパク源の確保が模索されていて、ウォルフィアもその可能性を秘めています」

Floatmeal 北村もあなCEO:
「国内だけではなくて、海外ももちろん大きなマーケットだと捉えているので、世界中に展開できるような商品を作りたいと考えています」


