
非常持ち出し袋の衣替え 1年を通してケアが必要【暮らしの防災】

秋から冬へ、季節が大きく変わります。「暮らしの防災」では、2024年5月5日に「非常持ち出し袋 最低限セットの準備と保管場所」を掲載しています。その後、非常持ち出し袋については触れてきませんでしたが、よく考えると1年を通してケアが必要でした。そこで今回は「非常持ち出し袋の衣替え」の提案です。季節ごと、もしくは大きな季節の変わり目に「衣替え」をすることで、防災意識・防災の気持ちを忘れないようにします。
最低限セットを再確認

まずは、最低限セットの復習です。持病の薬、メガネ・老眼鏡、スマホ&充電器、新聞紙(1日分)、ハンドタオル、ポケットティッシュです。今回は、まずこのセットをチェックします。
<使用期限をチェック>
■持病の薬
薬の内容は、最新のものになっていますか?医師から新たな処方を受けていませんか?また、薬の使用期限をチェックしてください。切れていたら新しいものに交換しましょう。
■メガネ
メガネの度はあっていますか?使い捨てコンタクトなどの使用期限は大丈夫でしょうか?
■スマホ
OSやアプリは最新バージョンでしょうか?Wifi環境、バッテリー環境が厳しい避難所で突然「バージョンアップ」が始まったら、ちょっとキツイです。
■充電器
アルカリ乾電池を使う場合は、電池の期限をチェックしましょう。
■新聞紙
新しい新聞紙に交換しましょう。
■ハンドタオル、ポケットティッシュ
タオル類は洗濯してください。ティッシュ類も新しいものにしましょう。
冬だからこそ必要なものも

前回(2024年5月5日)に非常持ち出し袋の考え方を紹介した時は、「季節」についての配慮が足りませんでした。申し訳ありません。
春夏秋冬、季節が変わるごとに非常持ち出し袋の見直しをしたいものですが、最近の気象状況と手間を考えると、「夏バージョン」「冬バージョン」の2通りでいいかと思います。そこで今回は、「冬だからこそ必要なもの」を追加します。冬の避難所は底冷えします。そこで、暖をとれるグッズなどを加えました。
■使い捨てカイロ(1週間分ぐらい)
■ブランケット類
■手袋(軍手でもOK)
■マスク(1週間分ぐらい)
■新聞紙、ゴミ袋(生ごみ用の大きなサイズ)
新聞紙・ゴミ袋は、ちょっと意外かもしれませんが、身にまとったり布団代わりにしたりすると温かいものです。その他にもいろいろ役立ちます。
<次の衣替えは初夏に>
消耗品は支援物資が入ってくるのを1週間と想定し「1週間分」としています。非常持ち出し袋は1人に1つずつ。家族が多いと結構かさばります。中身を充実させると重くなって運ぶのが大変ですし、普段の置き場所も大変です。できるだけコンパクトにまとめるように心掛けてください。
しかし、乳幼児、アレルギー体質の方、要支援の方などがいらっしゃる場合は、必要な物が変わってきます。そこはご注意ください。
冬が終わったあと、次の非常持ち出し袋の衣替えは「初夏」くらいを考えています。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。





