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「海にごみが増えるとどうして困るの?」環境問題を“自分事”に 子どもたちの疑問を解消する“出張授業”
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「海にごみが増えるとどうして困るの?」。大人も考え込んでしまう環境問題を、未来の子どもたちにも“自分事”として考えてもらうにはどうしたら良いのでしょうか。そんな疑問を少しでも解消できる出張授業「小学校 高学年向け 出張授業 in 港楽小学校」が1月31日、名古屋市港区の港楽小学校で行われました。
海ごみ問題を出張授業で分かりやすく解決!
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「海と日本プロジェクト in 愛知県」が主催するこの出張授業は、2021年から毎年、名古屋市内の小学校で開催しています。今回は名古屋市港区の港楽小学校の児童、4年生と5年生合わせて70人が参加しました。
食物連鎖で学ぶ海洋ごみ問題! 2050年の海はごみだらけ
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授業では、佐鳴予備校で講師を務める理科担当の加藤先生が登場。「2050年には海の中の魚よりごみが多くなるの?」「海にごみが増えるとどうして困るの?」といった海洋ごみ問題について、児童にわかりやすく説明しました。
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出張授業で使用した教材やワークシートなどは、佐鳴予備校・八千代エンジニヤリング株式会社などが協力して製作。加藤先生の授業を聞きながら、ワークシートを使って「食物連鎖と海洋ごみ」の関係や「植物と動物」の違いを学習しました。
中には友だち同士で相談している児童の姿も!
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授業を受けた小学生:
「2050年にごみが海の魚よりも多くなってしまうことを知ってビックリしました」
「海に捨てられているごみの多さを知って海でごみ拾い活動とかしてみたいです」
みんなの声援が後押し! カツオの一本釣り体験授業 「漁師さんはすごいと思った」
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テキストを使った授業以外に、「メリおっと!たいそう」や「海の生き物風船バレー」など体と頭を動かす授業もありました。
特に盛り上がったのが、漁師の苦労を肌で感じられる「カツオの一本釣り」の疑似体験。本物の漁で使用される竿、模型のかつお(実際と同じ重量2.5kg)で一本釣り漁法を体験する授業です。
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ルールはマットから出ないように行い、20秒間の間に釣り上げるというもの。1度でも釣り上げたら成功です。
大事なのは、釣り上げることではなく「漁師の苦労を体験」すること。普段食べている魚をどのように漁獲して、食卓に並ぶのか。漁師の大変さを感じることで、子どもたちに「魚を残さず食べよう!」と心がけてほしいのです。
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スタートと同時に一気に竿を引き釣り上げようとする子どもたち。力を使って一気にカツオを引き上げる男の子、力はないけどコツをつかんで何度目かのチャレンジで成功する女の子など、会場は大盛り上がりでした。
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平均で約2割の児童しか釣り上げられないというこのカツオの一本釣り。この日は、みんなの声援を受けた影響なのか、5割以上の子どもたちがカツオを釣り上げていました。
カツオを釣り上げた児童:
「最初は重たくて持ち上げられないと思ったけど勢いよく引き上げたら釣れました!」
「漁師さんはすごいな、と思いました。これから魚は大切に食べたいです」
環境問題を“自分事”としてとらえてほしい
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名古屋市立港楽小学校の伊藤孝明校長は、この出張授業を通して、子どもたちに環境問題を“自分事”としてとらえられるようになってほしいと話します。
名古屋市立港楽小学校 伊藤孝明 校長:
「知識を行動に結び付けることが大切です。ニュースなどで取り上げられる地球温暖化水や大気の汚染といった問題の学びを通し、自分事としてとらえる。その結果、日常生活で自然環境を守るための行動ができるようになってほしいです」
世界中が抱える環境問題を自分の身近な事柄に置くことで“自分事”として考えられるようになる。出張授業は子どもたちの人生の大きな財産になったのではないでしょうか。
(このイベントは、日本財団が推奨する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環で開催されました)