寄生虫ゼロ「陸上養殖サバ」が実現する安心・安全な食 “黒潮大蛇行”の影響か?続く不漁に一筋の光 三重

小泉大臣が打ち出したコメ5キロ2000円など、備蓄米の行方が気になる中、「海の幸」にもある異変が起きています。三重県南部、南伊勢町の奈屋浦漁港。
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(三重外湾漁業協同組合 中村直紀さん)「(普段なら)サバが流れてくるんですけど」
(記者)「いないですね」
この日、水揚げが全くなかったのが「サバ」。
三重県の熊野灘沿岸では古くからサバ漁が盛んで地元漁協は毎年、伊勢神宮にも奉納してきましたが、海水温の上昇などの影響でことしは深刻な不漁に。
(中村直紀さん)「『黒潮蛇行』の影響か、春は全然(サバが)取れなかった」
サバの不漁はここ数年続いていて、2020年度は県内で年間約3万トンあった水揚げが、昨年度は約3000トンと10分の1ほどに激減。
この事態を受けて、三重県では新たな取り組みがスタートしています。
(三重外湾漁業協同組合 販売流通課 百合本能隆 課長)
「養殖に目を付けて、サバを養殖をしようと」
地下からくみ上げた海水の中で泳いでいるのは、サバ約4500匹。三重県は天然サバの減少をうけ、2年前から実証事業として陸上養殖に取り組んでいます。
去年8月には地元の飲食店などに初出荷されましたが、その最大の特徴は?
食中毒を引き起こす “アニサキス”がいない!?
(百合本能隆 課長)「サバはアニサキスが食中毒とかで叫ばれるんですけど、アニサキスがいないところが、このサバの良いところです」
腹痛や嘔吐などの症状を引き起こすアニサキスは、サバがアニサキスを保有する別の魚介類を食べることなどで寄生しますが、この三重県の養殖サバがたべるエサは人工飼料のため、アニサキスが寄生する心配がないと言います。
ただ、養殖の過程で水中に酸素を送ったり、海水をくみ上げるための光熱費などがかかるため、値段は天然ものよりも高くなる見込みです。
( 百合本能隆 課長)
「販売価格はこれから相談して決めていきたいが、1キロあたり2000円~3000円で考えています」
現在、養殖サバは1匹180グラムほどに成長。今後250グラムまで成長すれば、ことし8月頃に地元飲食店を中心に出荷できそうだということです。
このように海の環境変化で様々な魚介類の不漁が続いています。新たな養殖方法の確立で水産業界に希望の光が差し込むといいのですが…。