4月24日、愛知県あま市にオープンした「ロビン・フッド」。ドン・キホーテなどを運営する会社が“食品強化型ドンキ”として立ち上げた全国1号店です。
そこに込められているのは、お値打ちないい物を提供する“コストパフォーマンス”と、買い物時間も調理時間も短縮する“タイムパフォーマンス”。1円でも安くいい物をつくるために、全員参加で試行錯誤する場面も…。
初日から500人が列をなす大盛況を支えた、裏側に密着しました。
しょうが焼きがレンチンで!? ロビン・フッドのコスパ&タイパ戦略

2026年1月、旧ピアゴ甚目寺店の事務所では、従業員向けに、ロビン・フッドの説明会が行われていました。
PPIH 長谷川拓さん:
「新業態は“食品強化型ドンキ”ということにはなるんですけど、コスパとタイパを意識した店づくりをしていきたいと思います」
ドンキといえば、ところせましと商品が並び、さまざまな物をゆっくり探し回りながら買い物できるのが特徴的ですが、今回はその正反対。コスパとタイパを重視した、全く新しい店にするというのです。

この日はユニー稲沢本社で、タイパ重視の目玉商品を集めた試食会議が行われていました。
試食していたのは、ドンキとしては初開発となる、電子レンジで作る味付き肉。穴を開けて3~5分温めるだけ。タイパ戦略の目玉商品です。手軽さや味は好評のようですが…
PPIH 常務執行役員 片桐三希成さん:
「これ見た目が良くなくないねえ。野菜の色がもうちょっときれいに出る、色の出し方はできない?」
さらに、レンジで加熱するため、重なった肉の部分が固くなりがち。見た目と食感に課題が残りました。
こだわりの手書きのポップを捨て…“買い物時間15分”目指す

事務所では、ロビン・フッドのポップ担当者がパソコンで作業をしていました。
ドンキといえばユニークな手書きのポップが特徴的ですが、黄色のベースには、大きく書かれたタイムパフォーマンスの文字と、時計のイラストだけ。
PPIH 髙橋保弘さん:
「ローコストオペレーションで手書きはできないので、1円でも安く商品に還元して。ドンキは“時間消費型”、手書きの文字で情報の洪水。こっちは逆で、パッと見て迷わせない飽きさせない。言うのは簡単ですけど、実行するのが実に難しい」
より安く、より短い時間で買い物できるように、こだわりだった手書きのポップを捨てました。労働環境や生活環境などで、買い物時間の短縮が社会に求められているといいます。
実際、街の人は普段どれくらいの時間で買い物しているのでしょうか。街で50人に話を聞いたところ、平均時間は23.7分。ほとんどの人が買い物時間を短くしたいと思っていました。
ロビン・フッドが想定する買い物時間は、食品だけで10~15分。取材班が調査した街の人の平均よりも、かなり短い設定です。
オープン直前! 試行錯誤の末に完成した「タイパ」を極める商品

4月上旬、オープンまで残り3週間。閉店したピアゴの商品棚などは、あっという間にすっきりした状態に。棚を入れ替えてからは、日用品や調味料などから順に陳列していきます。
手書きを捨てた、新たなポップも設置。このほか、価格を大きく強調した値札や、「楽」「速」といった短い言葉で書かれたポップもありました。お客さんは見てくれるのでしょうか…。
PPIH 髙橋保弘さん:
「これが完成品なんですけど、あんまり細々できない、しないようにしているので、伝わっているのか不安要素の一つですけど」

一方、前回の会議で見た目と肉の固さが課題に上がった、レンジで作れる味付き肉。
PPIH 柳原巧弥さん:
「前回、緑が入っていないから見栄えがしないということで、ちょっと色々変えさせてもらった感じです」
新しくなったしょうが焼きは、ネギが大きくなって緑が映えるようになりました。タマネギの量も追加して、見栄えを改善。肝心の食感も、色味を足すために入れた野菜が、肉を柔らかくしました。
PPIH 柳原巧弥さん:
「レンジ調理っていうのが迷わせないし、早く仕上がるので時短のお助けを」
レンジで作れる商品は、しょうが焼きだけでなく、味付きの魚や温野菜まで。また、包丁やまな板いらずのカット野菜は全部で70種類。徹底的にタイパを重視した商品で、お客さんを待ちます。
親だけじゃない! 子ども興奮 「毎日来たい」食品以外の魅力

午前9時。開店を待ち望んでいた客が続々と入ってきました。みなさん、あれやこれやと商品を手に取っていきます。
ドンキにはない、生まれ変わったポップを見たお客さんは「一目で安いと分かる」「大きくて見やすい」とおおむね好評ですが、タイムパフォーマンスのポップを見た人の中には…
買い物客:
「お年寄りにはわかりにくいかも、タイパ…。“ラクラク”とか簡単な言葉の方がいいかな」
ポップによっては、ピンとこなかった人もいるようです。
PPIH 髙橋保弘さん:
Q.タイパの言葉自体が分からない人も
「ほんとですか。まだまだ僕も勉強不足で、反省点として次からいかそうと思います」
とはいえ、店内は入場規制をするほどの大盛況! タイパ商品の売れ行きも好調。レンジで温めるだけの魚や、カット野菜を手にする人も。開発に苦労していたレンジで作るしょうが焼きは、開店から商品を手に取る人は少しずつ増えていき、一時は人だかりができるほどでした。
買い物客:
「見た目も味付けされていておいしそう。ネギがあるから緑も入っているし、彩りいいなって思います」

夕方になると、店内には多くの子どもたちの姿が。もちろんいるのは食品エリアではなく、店の4割を占める雑貨エリアです。特に、子ども向けのおもちゃや化粧品など、ドンキらしい商品がいっぱい並んでいます。
小学生:
「近くにこういう店があると楽しい。学校終わりにここ行こって」
雑貨エリアを広げて子どもたちに来店してもらうことで、将来のドン・キホーテのお客さんを獲得したい狙いです。
怒濤の1日が終わり、閉店時間の午後9時。初日は約3300人が来店しました。レンジ調理の味付き肉は棚もガラガラ。しょうが焼きはなんと完売です。
PPIH 柳原巧弥さん:
「お客さまの反応も良くて良かったです。将来的にはできたてというので、総菜の弁当を超えたりとか、レンジ調理商品で可能性を見いだしたい」
世間のニーズが変化していく中、コスパとタイパを重視した店舗作りは、まだまだ進化していきそうです。


