相次ぐ山火事 湿度6%・強風の“最悪条件”で「ボーンと火の玉みたいなのが飛んだ」今も忘れない23年前の大規模火災 岐阜

各地で山林火災が相次いでいますが、過去には東海地方でも岐阜市で湿度6パーセントという状況で大規模な山林火災が発生していました。
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2002年4月5日から6日にかけて、岐阜県で岐阜市と各務原市にまたがる権現山一帯で燃え広がった火災では、バンテリンドーム約85個分の広さの山林が焼けました。
出火は午後1時10分、この日の岐阜市は湿度6%と観測史上最低を記録。
さらに、出火前後は風速5メートルから6メートルの強い風が北西からあおり、みるみる火は勢いを増していきました。
最悪の条件下での山林火災だったと言われ、火は隣の各務原市まで燃え広がりました。
消火活動は地元の岐阜県だけでなく、愛知県や石川県などのヘリコプターも出動。自衛隊も加わり、空中から消火にあたったヘリは全部で7機。
のべ2416人の消防機関の人員が投入されました。
(住民)
「ボーボー火が付いていて。来る途中、火の手がバーッと燃えていて、もう足がガクガクしちゃって」
「頂上に芳野神社があって、そこの宮司なんですが。今、御神体を持ってきて、燃えていた、30メートルぐらい(先が)」
「ボーンと火の玉みたいなのが飛んで」
この山林火災では岐阜市内の住民は中学校2か所に避難したほか、各務原市では福祉施設に入所している高齢者らが一斉に避難。不安な夜を過ごしました。
幸い建物が焼ける被害はなく翌日には鎮火。27時間の懸命な消火活動でした。
けが人は消火活動中の2人のみ。岐阜県で過去最大規模の山林火災は最小規模の被害に収まったと言われました。
(当時の各務原市長)
「けさ現地視察して。正直言って背筋がゾクッとした。危機一髪」
あの日から丸23年になろうとしていますが、出火原因は明らかになっていません。
きょう、あらためて現場を訪ねると出火元付近は立ち入ることができなくなっていました。
当時の火災について住民たちは…。
(住民)
「(当時)犬と猫がいたから車に乗せて。近所の人を1人乗せて、すぐ避難。山火事のニュースがテレビに出ると『あの時こんなだったな』という感じ」
「(当時)飛び火が一番ショックだった。ボーンと火の玉みたいなのが飛んでいく。(山火事を)経験しているので目に浮かぶ」
地元の皆さんが手にする郷土誌には当時、芳野神社の宮司が御神体をかかえて避難したことも「必死の救出劇」として記されていました。
あの山林火災が残した教訓
そして、山林火災があった現場には今はキャンプ場もあり、こんな声も…。
(住民)
「(キャンプ場から煙が出ていると)怖い」
そこでキャンプを楽しんでいる人にも聞きました。
(キャンプに訪れた人)
「風が強かったら絶対火を起こさないのが大事。他にも防火シートを敷いたり、水を近くに置く対策が必要」
細心の注意を払って楽しんでいるということでした。
一方、岐阜市の地元住民たちは、あの火災は決して忘れることはできないと話します。
(住民)
「絶対、家でゴミを燃やさない。焼却炉があっても使わない。火のまわりだけは厳しく」
当時、火の手が及んだ各務原市のハイキングコースには「山火事注意」と書かれた、のぼり旗や看板が、あちこちに設置されています。
住民たちが、あの23年前の山林火災を忘れていないことがうかがえます。
CBCテレビ「チャント!」2025年3月27日放送より